令和 6 年度当初予算編成に対する申し入れ

令和 6 年度当初予算編成に対する申し入れ

昨年 2 月に始まったロシアによるウクライナ侵略に加え、本年10月からはイスラエルとハマスの間でも紛争が勃発・激化しており、食料やエネルギーなど物価の高騰や難民の発生、経済の停滞など日本や世界を取り巻く環境は混沌としつつあります。
国内では数十年つづいたデフレ基調からインフレ基調へと大きなトレンドの変化がおこりつつあること、科学技術の進歩が加速度的に進んでいることなどを踏まえ、より大胆かつスピード感をもった行政運営が求められています。
我が会派としても、齋藤知事の進める大胆かつスピード感のある行財政運営・改革を後押しするとともに、様々な政策提案を行うことで、よりよい兵庫県を作っていきたいと考えています。このような点もふまえ、以下の通りに『当初予算編成に対する申し入れ』を提出させていただきます。
ご高覧のうえ、何卒よろしくご検討のほどお願い申し上げます。

維新の会兵庫県議会議員団

団長 警察常任委員会委員 岸口みのる(明石市選出)
幹事長 総務常任委員会委員 門隆志 (宝塚市選出)
政務調査会長 文教常任委員会委員長 増山誠 (西宮市選出)
副幹事長 産業労働常任委員会委員長 斉藤なおひろ (川西市・川辺郡選出) 
政務調査副会長 農政環境常任委員会委員 鍔木良子 (加古川市選出) 
建設常任委員会委員 徳安淳子 (尼崎市選出)
農政環境常任委員会委員 高橋みつひろ (神戸市西区選出)  
警察常任委員会委員 飯島義雄 (姫路市選出)
文教常任委員会委員 大矢卓志 (神戸市垂水区選出)
文教常任委員会委員 長崎寛親 (神戸市兵庫区選出)
健康福祉常任委員会委員 住本陽子 (神戸市須磨区選出) 
健康福祉常任委員会委員 なかい 隆晃 (神戸市長田区選出)
産業労働常任委員会委員 赤石 まさお (神戸市東灘区選出)
総務常任委員会委員 大原 隼人 (尼崎市選出)
警察常任委員会委員 さかた たかのり(姫路市選出)
建設常任委員会委員 佐藤 良憲 (伊丹市選出)
総務常任委員会委員 脇田 のりかず (西宮市選出)
農政環境常任委員会委員 中村 大輔 (神戸市北区選出)
健康福祉常任委員会委員 白井 たかひろ (神戸市灘区選出)
産業労働常任委員会委員 北村 智 (神戸市中央区選出)

1.農政環境

兵庫県の農林水産業は、これまで県民生活に欠くことのできない食料を安定的に供給し、本県の古くから引き継がれてきた伝統文化とあいまって、潤いと安らぎに満ちた空間を提供し、一方で災害時の環境保全等の多面的機能を有してきました。しかし、全国的に農林水産業を取り巻く状況は厳しさを増しており、本県においても人口減少や高齢化による担い手の減少、荒廃農地の増加、基幹的施設の老朽化の進行に加え、不安定な世界情勢に起因する燃油・肥料・資材の高騰など多くの課題が顕在化しています。
こうした苦しい状況の中、次代を担う力強い担い手の確保・育成に努め、こうした担い手へ集約化を進め、また収益性の高い農水産物への移行等により儲かる農林水産業を実現し、経営の安定化を図っていくことが重要となっています。
地域が描く将来の展望が農林水産業にとって最適な環境となるよう、最先端技術を駆使したソフト施策との連携を強化し、新技術の活用や施設の統廃合・再編や最適な施設規模の検討により、コスト縮減を図るとともに、より一層の効率的・効果的な農林水産業の持続的発展を図ることが重要であると考えます。

持続可能な農業の推進
鳥獣対策、家畜疾病対策に努め、中山間地域の農地を保全し兵庫の特徴である集落営農者の経営安定等に努めると同時に、担い手の法人化など農地の集約化もさらに進めていき持続可能な本県農業を模索すること。またスマート農業技術を推進していくために技術研修で就農者を育て、コスト高の対応に取り組み、生産性の向上に努めること。

  • みどりの食糧システム戦略の推進

本県は、環境創造型農業で先進的な取り組みをしてきたことから、有機農業などの取り組み後押しのため、技術確立のための研究と指導者の確保、また有機農業への経営をサポートする補助事業を強化すること。また生産過程のみならず、みどりの食料システムにおける調達、加工・流通、消費の各過程においてもイノベーションの実現に向けた独自の支援を行うこと。

  • 学校給食における県産オーガニック食材の利用拡大

学校給食を通じて、県産の新鮮で安全な食材と健康にやさしいオーガニック食材を確保し提供すること、食品の品質や安全性についての知識を身につけさせることは大変重要であると考える。また「兵庫のめぐみ学校給食」で行う PR 活動などを拡大し、学校給食における地産地消の取組を推進することも重要である。
本県では県産品使用割合(食材ベース)を令和3年度までに 35%以上とすることを目標としていたが、実績は29.1%と未達であったことから、更なる県産品の利用を県と市町が一体となって取り組み、県産品の利用拡大に努めること。

  • 農福連携の取組の推進

現在の日本の農業を支える平均年齢は 67 歳と高齢化しつつあり、また今後農業従事者の担い手不足が長期課題となっている。一方、福祉の分野では障害者の就労意欲が高まっており、障害者が職業を通じて生きがいをもち、自立した生活を送ることが出来るように求められている。この様な背景から、「農福連携」によって、農業分野の担い手不足対策、働き手の確保として期待されている。しかし課題は少なくなく、障害者の特性が身体障害・知的障害・精神障害など一人一人異なり、各障害者それぞれの特性に応じたマッチングが必要であり、職種の適正と雇用・就労をするためには農園の設備の充実やトイレなどの附帯設備などの整備を進める必要がある。またサポートのための業務の創出・人事制度の整備も必要となるなど、施設の整備といったハード面だけではなく、実際に働く障害者の方々へ研修をしてくれるジョブコーチを派遣してもらい、仕事を覚えるためのマニュアル作成や、精神面で仕事にいきづまった際にサポートする体制構築などといったソフト面での整備等多岐にわたっている。
県としてもこれら多くの課題を一つ一つ解決し障害をお持ちの人にとって働きやすい環境づくりを積極的に推進すること。

  • 農水産物のブランド化の一層の推進

兵庫県のブランド化した農水産物は、但馬牛神戸ビーフ、山田錦、淡路のたまねぎ、岩津ねぎ、明石の鯛やたこ、松葉ガニや香住ガニ、出石そば、室津のかき、いちじくやトマト等全国的、世界的にその名が通っている産品も多数存在する。
特に最近の日本食ブームが、ブランド化に一層拍車をかけており、淡路のサクラマスや有馬の山椒等の新しい農水産物がブランド化されている。
こういった特産物のブランディングとして店舗マップ作成や地産地消のポイントサービス、イベントの開催などで各地域での生産、販売を一般消費者にもわかりやすく把握できる工夫を行うとともに、海外からのインバウンド消費につながるよう取り組むこと。

  • ため池の保全と東播用水の体制整備の推進

東播地区におけるため池の重要性は、先人の血と涙と汗にきざまれた東播地区の農業の歴史そのものである。今年度のため池の保全県民運動第2期推進運動(令和5~7年度)を遂行するにあたり、県民のため池に対する意識向上を図るとともに、ため池保全に向けた着実で、適正な管理が行われるような体制整備や、耐震化等の防災・減災機能の向上と老朽化対策の推進を着実に実行すること。

  • 密漁の防止の強化

兵庫県のほとんどの沿岸海域には共同漁業権が設定されており、その区域内では共同漁業権の免許を受けた漁業者以外の人物がこの権利を侵すことは漁業権侵害として罰せられることとなっている。しかし最近、密漁がレジャー化していたり、一部では暴力団の資金源になっていたりするケースが新聞報道等で取り上げられている。
その防止の観点から、特定の水産資源に係る採捕の禁止期間や、地域毎に漁業権が設定されている水産資源等を世間に周知する活動を展開し、兵庫県漁業調整規則等関係法令の励行が徹底されるよう密漁防止に向けた取組強化を行うこと。

  • 再生可能エネルギーの開発の一層の強化

世界的に石油価格が高騰し安定的にエネルギーを確保することが課題となり、政府は基本方針の中で、 再生可能エネルギーを脱炭素電源として主力電源と位置づけた。本県においても太陽光発電、風力再生エネルギー等の環境整備とその活用に向けて取り組むために太陽光の耕作地の活用に関する研究、洋上風力発電については、県としての方針づくりを行うこと。
なお、方針作りにおいては県民生活や環境に与えるその他の影響を多角的な視点から見極めつつ、太陽光については発電設備の廃棄に関する課題、風力発電については発電施設の後背地の生物・植物環境や超低周波に代表される騒音などについても研究を重ね拙速な判断とならないよう留意すること。

  • 災害への備え

兵庫県は地震や台風などの自然災害が頻発する地域である。農作物や農地の被害を最小限に抑えるための災害対策や復旧・復興支援が重要となる。また、兵庫県は水資源が豊富ではあるが、適切な水資源管理が重要となる。農業用水の効率的な利用や灌漑システムの改善、水源保護に一層努めること。

杉の植え替え促進

スギ花粉症は国民病ともいえる疾患となっており、国民の 4 割が罹患しているとも言われている。スギ人工林は戦後すぐに国策として植林が進められ現在では全国で 4 44万ヘクタール、本県では10万ヘクタールが存在する。花粉症による被害額については、民間研究機関が様々な試算を行っており、外出控えや労働生産性の低下、医療費の増大などで年間 2800 億円~1 兆円程度の経済損失が発生している旨報告されている。
本年 5 月には政府において「対策の全体像」がとりまとめられ 10 年でスギ人工林を 2 割削減することが決定された。
本県においても経済的損失や健康被害を少なくするため、いち早く植え替えを促進すること。

適度な環境保全

環境保護や脱炭素の名目で県民生活や経済に過度な負担を与えないよう、環境施策は相応の実施が肝要である。高度経済成長期に発生した赤潮対策として瀬戸内海環境保全特別措置法が制定され我が県においても周辺海域の水質改善が実現したが、行き過ぎた対策により栄養塩が不足し漁獲量の減少や海苔の色落ちなどが発生している。
環境保護に関する政策を実施する際は環境面だけでなく、その及ぼす影響を将来的、多角的に分析し、実施の要否を慎重に判断すること。

林業が持続できる仕組みづくり

林業は後継者不足や木材価格の低下などにより経営が困難な状況が続いている。 2023 年にはウッドショックで木材価格が高騰したことにより経営環境は改善するかと思われたが、これまで続いてきた長年にわたる経営へのダメージからすぐに増産できる余力や体制が整っておらず根本的な復活には至っていない。人工林を管理していくことは土砂災害など防災上の観点や、杉やヒノキの花粉対策といった観点からも必要である。ウッドショックへの対応では川下、川中、川上への支援を実施し原木生産の増加など一定の成果を上げている。原木価格の高騰時にすぐ増産できる体制を維持していくことは、林業の経営安定化や就業人口の確保など現在林業が抱える問題の解決に必要不可欠である。原木価格の変動による林業経営の不安定さを、県発注の業務で緩和する需給安定施策を研究し実施すること。

  1. 警察
  • 警察組織の強化

警察組織については日ごろからの地域との交流、情報収集による事件発生の未然防止、体感治安の向上が肝要である。警察署の統廃合後も、パトカーの巡回の強化をはじめとする見せる警戒強化を図り地域の安心安全の維持に努めること。また、新人教育をはじめとする警察官の資質の向上とともに、多発する警察官の不祥事の根絶を図り県民からの信頼回復に一層努めること。

  • 活動基盤の整備強化

警察署、交番・駐在所の長寿命化を図るためメンテナンスを行うとともに修繕計画を策定すること。機動隊、レスキュー隊の資機材についても更新、充実を図っていくこと。また防犯カメラは、近年の捜査に大きな役割を果たしており、更なる設置対策の強化が必要である。限られた予算内で全てをまかなうことは困難なことから、民間が所有する防犯カメラやドライブレコーダーが活用できるよう民間企業や諸団体と協力協定を結ぶなど、民間の設備の活用を積極的に検討すること。

  • ストーカー・DV・虐待事案への対応力強化

県下での、DV・幼児虐待事案が重大事件につながり、悲惨な事案が後を絶たない。県・市の関係機関には日常から一定の情報の蓄積がされており、近隣住民も何らかの異変に気付いているケースが見られる。重大事件に発展する危険性の除去、事態の急展開を未然に防ぐ対策が急務と考えることから県・市の関係機関との情報共有、地域からの情報収集の強化に努めること。また、被害者支援だけではなく、加害者に対して再犯防止を防ぐための更生プログラム等を取り入れること。

  • 特殊詐欺事案への対応力強化

昨年度より県下における高齢者が被害となる特殊詐欺事件が急増している。これまで高齢者世帯への録音機能付きの電話機の設置などを進めてきたところであるが、防犯カメラの設置など新たな対策が必要である。また、金融機関、コンビニエンスストアー等の協力による事件発生防止が多く見られることから民間機関との一層の情報提供、連携強化など未然防止に向けた取組を進めること。
あわせてSNSによる所謂「闇バイト」への対策強化を図ること。

  • 暴力団追放運動の支援と徹底した取り締まりの強化

暴力団対策法施行以降、暴力団追放運動が県内でおこなわれているが、暴力団事務所に認定できず、県警が踏み込めない事案なども見受けられる。長年暴力団追放運動に取り組まれた地域住民の疲労や不安に留意すると共に、諦めムードを打破しなければならない。神戸市とも一体となって暴力団事務所の早期撤去と取り締まり強化を図ること。また、暴力団対策法の適用外となる反社会的勢力「半グレ」などの犯罪集団の実態把握と取り締まりも強化すること。

  • 若者の大麻乱用防止対策

大麻や合成麻薬の所持、使用による芸能人や若者の検挙者が急増している。大麻や合成麻薬は、より強い副作用や依存性の高い覚せい剤などへの薬物の入口とされているが、SNS の普及に伴い危険性を軽視する間違った情報に接しやすく、また安易に入手出来る環境にある。取り締まりの強化とともに、大麻や合成麻薬をはじめ薬物の危険性の周知徹底と乱用防止啓発活動への取り組みを強化すること。

警察装備の技術研究への積極的投資

昨今の技術進歩により安価で小型なボディカメラやドローン、テーザー銃など事件解決や暴動鎮圧などに有効と考えられる装備が開発されている。特にドローン技術の進歩は著しく、捜査の初期段階において通報と同時に現場にいち早くドローンを派遣し現場の状況を把握することも技術的には可能となっている。このような装備の実証研究や技術開発を警察庁に提案するとともに、開発にあたっては積極的に協力すること。

阪神間における留置施設の設置

犯罪認知件数や検挙人数は地域間で大きな差がある。特に阪神間においては認知件数も検挙人数も多く、留置施設の収容人数が足りていない。当該警察署内では収容しきれない場合も多く、尼崎や西宮など阪神間で検挙した容疑者を姫路などに留置することもある。取り調べを行うにあたり、遠くの警察署まで警察官が出向く必要があるなど設備不足による時間のロスや無駄が生じているため、特に検挙人数の多い阪神間に留置施設を増設すること。

  1. 健康福
  • 県立総合衛生学院のソフト面の充実
    助産学科、看護学科、歯科衛生士学科、介護福祉学科の4つの学科が一つの場所に統合するが、入学定員に満たない学科が存在することのないように、ソフト面をブラッシュアップさせること。
  • 医師の働き方改革

昨年、県立丹波医療センターで発生した医療事故を受けて、対策として、ICT を活用したチェック体制の強化や医師の多忙化を改善するためタスクシフトが推進されるところであるが、その際患者の安全の確保と責任の所在を明確にするルール、体制作りを重視すること。

「令和元年 医師の勤務実態調査」によれば、常勤勤務医の約 4 割が「過労死ライン」と言われる月 80 時間以上の残業をしており、その倍の 160 時間を超える人も約 1割判明している。医師の働き方を見直すことにより医師の健康維持と人材確保、医師のワークライフバランスの確保を図ること。以上の点について、「医師の働き方改革プロジェクトチーム」において十分検討し、その実現を図ること。

  • AI による疾病の早期発見、過疎地に対する医療支援の確保対策

医師不足の中、より多くの県民が質の高い医療を受けるため医療 AI を使うことは、医療の質の確保、効率的な診察、医療コストの低下など患者にとっても大きなメリットとなる。兵庫県下においても、医師不足などによる都市部と過疎地域の医療格差が課題になっており、医療AI の利用によってこの是正につながる可能性があるため医療産業都市の神戸市と連携し積極的に研究を進めること。

  • DX 化による患者連携

医療 DX により、誕生から現在まで、生涯にわたる保健医療データが自分自身で一元的に把握可能になることで、個人の健康増進に寄与できるといわれている。具体的には、基礎疾患・既往歴・服薬の連携による再検査の削減、自分で記憶していない検査結果情報やアレルギー情報が可視化されることによる、予防策の推進など医療費削減への足がかりへとなるため、医療 DX を積極的に推進すること。

  • コメディカルの活躍推進

医師の働き方改革に向けて、今後「労働時間を短縮」していくことが求められる中、医師から他職種へのタスク・シフティングが必要となる。この点について、医師を補助し、一定の医療行為を実施可能な職種である「フィジシャン・アシスタント」(PA)など資格を新設することにより医師の業務量負担軽減が実現できる。日本の医療体制における医師がすべてをこなすという仕組みを抜本的に変えるため新たな医療の在り方を研究し、より効率的な医療体制の在り方を国に対して要望すること。

  • 医療・介護・福祉の連携施策の推進

県民が安心して暮らせる医療・介護・福祉体制を構築するべく、ICT 技術を使い効 率的に課題解決に当たるなど、これらの分野がさらに連携を深め、切れ目のない支援体制を作り上げていくことが必要である。また、超高齢社会を支える若者に負担になりすぎないよう制度を設計し、予防対策・自立支援に力を入れること。

  • 児童虐待時の緊急対応

神戸市西区の児童虐待死亡事件のような事件を二度と発生させないよう再発防止策を講ずる必要がある。具体的には、緊急時に受け入れ先が無いという状況にならないよう児童相談所が福祉事業所と連携し短期緊急避難場所を数時間以内に確保できるような体制整備を行うなど、市町が核となった包括的な相談支援体制の充実や、県が主導して市町の地域福祉ネットワーク(地域見守り)の構築を図ること。特に民生委員、児童民生委員との連携を強化し、すること。また、要支援妊産婦への継続した見守りを医療機関、助産所などと連携しながら強化すること。

また、「リアルタイム情報共有システム」の導入を神戸市・明石市とも連携し実行、他都市でも導入事例があるような児童虐待のリスク判断に AI 技術を活用するなど先進技術の導入を検討すること。

  • 障害者が仕事を選べる環境づくり

障害に理解のある職場を選ぶ際、求職者自身が自分の得意・不得意を説明できるように説明のし易い場(就職フェア)やわかりやすいエントリーシートなど求人者とのマッチングに繋げていくこと。また就職へのハードルが高い場合は就労移行支援・就労継続支援 A 型などの福祉事業所を利用し、日々社会参加を図っていけるよう新たな取り組みを作っていくこと。

  • 障害者施設賃金向上への取組強化

障害者優先調達推進法(平成25年4月施行)に定められた趣旨を達成するため、県内の官公庁への普及拡大に努め、ひょうご障害者ハート購入企業認定制度のインセンティブをさらに高め、企業や民間のノウハウを積極的に導入し、さらなる障害福祉事業所に対し共同受注窓口の門戸拡大に努めること。

  • 介護予防支援

要支援・要介護リスクを減らすためには、高齢期の定期的な身体活動、多様な食品摂取、活発な社会交流の 3 つを組み合わせることが重要である。 高齢者自身や家族、ケアマネジャーなどが3つのうち足りていないものは何かを確認し、それを積極的に補っていくことで要支援・要介護リスクの軽減を図る支援を行うこと。

  • 障害者自立支援

障害のある人が、その有する能力や適性に応じ、地域社会・家庭社会で自立した生活を営むことができるよう、地域の中でサポートしていくこと。
その為に住民に最も身近な市町を中心として、地域包括支援システムを活用し、サポートの方法・量によって生活の自立度が高められる方に対しては積極的に活用し生活の自立を促し生活保護からの脱却を促していくこと。

  • 重度障害者医療費助成に対する国のペナルティ廃止に向けた取組み

重度障害者医療費助成を地方公共団体が行う場合、国民健康保険の減額調整措置が適用され、事実上のペナルティとなっている。重度障害者の医療費助成などの経済的支援は、本来、国が取り組むべき施策であり、このようなペナルティ措置を即刻廃止するように、これまで以上に国に強力に働きかけること。

  • 障害関連職に携わる相談支援員に対する処遇改善加算の拡大

直接介護を行う介護職員に対する賃金向上のため処遇改善加算が創設されている。さらに介護職以外の職員に対しても特定処遇改善加算という形での支給が開始されている。
しかし障害関連職に携わる相談支援を行っている事業所は処遇改善加算の対象とはなっていない。相談支援専門員の平均年収は 300 万円から 380 万円であり給与に比して仕事量が多いため離職率が高くなっている。相談支援専門員の不足によって新規での利用者が依頼を行いにくい状況であることから相談支援専門員を擁する事業所を処遇改善加算の対象とし賃金向上を図り離職率低減に努めること。

  • 生涯を通じた歯科健診の取り組み

去る令和 5 年6月 16 日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針 2023
(いわゆる骨太の方針 2023)」には、「生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆健 診)に向けた取組の推進」等、歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組む旨、記載されている。また、健康増進法に基づく令和6年度から適用の「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」いわゆる「健康日本 21」第3次の実施計画では、「歯周病を有する者の減少」、「よく噛んで食べることができる者の増加」とともに「歯科健診の受診者の増加」が「歯・口腔の健康」の目標として掲げられ、指標:過去1年間に歯科健診を受診した者の割合、目標値:95%(令和 14 年度)が明記された。県におかれては、「歯及び口腔の健康づくり推進条例」を最大限に活用し、前記内容の推進、実現に尽力すること。

  • 引きこもり、自殺防止対策

長期化、高齢化が進み経済的に困窮する「8050 問題」がより一層深刻化している。また、本年 3 月末に内閣府が公表した最新の調査によると、引きこもりの状態にある 40~64 歳のうち半数以上の 52%が女性であり、特に主婦のひきこもりが増加傾向にある。こうした実態に即した多様な支援の体制を構築すること。またコロナ禍により、子どもや女性の自殺が増加している。原因の実態解明とともに、こうした傾向に配慮したきめ細かい相談、支援体制の整備を進めること。若者の引きこもりについても、未然防止のための支援を行うこと。

  • 学童保育の課題解決

学童保育の需要が高まり、県の2022 年 5 月の調査では待機児童は 1000 人を超えている。施設のスペース、指導員の人数を適正に確保しながら施設数を増やし待機児童解消に努めること。また専門資格を持つ放課後児童支援員の不足を解消するため、給与改善に取り組むこと。

  • 障害者スポーツの広報戦略

2024 年 5 月に神戸市で開催される第 11 回世界パラ陸上競技選手権の開幕まで1 年を切っている。インクルーシブな社会の実現に向け、大会が大きなきっかけとなるように多くの観客を集め注目を高める必要がある。より一層広報に力を入れ、大会を盛り上げていくこと。

  • ヤングケアラー等家庭内介護者への支援

家庭内介護のなかでも「老老介護」「認認介護」「ヤングケアラー」、育児と親の介護を同時に担う「ダブルケアラー」といったサポートが必要な家庭の早期発見が課題である。かかりつけ病院や自治体、学校など関係機関が連携し、支援が必要な人の把握を強化すること。また、相談先の認知が広がるよう広報に努めること。

  • 障害者就労継続支援事業所の授産品の販路拡大・農福連携の推進

兵庫県の令和 3 年度の就労継続支援 B 型事業所の平均工賃月額は全国都道府県で 45 番目。14,354 円にとどまっている。工賃を上げるためにも障害者就労継続支援事業所の授産品の販路拡大に更に取り組むこと。農業の深刻な担い手不足対策としても農福連携は期待されている。県として農福連携を更に支援すること。

  • 高齢者などの重症化しやすい患者に対しての感染症対策 5類の位置付けとなっても、高齢者や持病など疾患がある重症化しやすい患者も依然存在しており、陽性者の体調悪化等における相談体制を維持すること。
  • コロナ政策や措置の見直し等の速やかな情報共有

各種政策の見直しにおける措置について円滑に移行できるよう県民や保険・医療現場へきめ細かく周知すること。

  • 受診控えの防止

受診費用等については基本的に自己負担となることから受診控えが生じないように制度の変更や感染症が疑われる場合に早期受診について県民に十分説明すること。

  • 後遺症に苦しむ患者への支援

後遺症に関する実態調査や原因不明のための研究を国に求めると同時に、新型コロナ感染症の回復後に続く倦怠感、呼吸困難、味覚嗅覚障害など後遺症に苦しむ患者への支援を行うこと。

  • 新型コロナ感染症対策に活かす取り組みの検証

これまで新型コロナウイルス感染症に関して国によって多額の予算(地方創生臨時交付金)が計上されてきたが、これまで本県において講じてきた施策の効果を検証し、今後の感染症対策のために何が必要なのか将来の危機に備えること。

  • 新型コロナ感染症など国から地方自治体に求める法的根拠性の明確化

新型コロナ感染症の限らず、感染急拡大時など地方公共団体に入院調整を求める場合には法的根拠を整理し具体的な方針を国に求めること。

  • 新型コロナワクチンの有効性や安全性の周知や情報の提供

希望者の接種が円滑に進むように、新型コロナワクチンの有効性や安全性に関する情報について県民に広く周知するとともにワクチンの副反応や接種にあたり注意事項などの情報の提供を行うこと。

  • 育児短時間勤務制度の拡充

県立病院は少ない数の医師や医療スタッフにより、地域医療を担っているが、医療人材の確保が課題となっている。医師などが勤務しながら子育てが可能になる仕組みとして、「育児短時間勤務制度」を県として設けているが、未就学児に限られている。医療現場の医師に対して、この制度を小学 6 年生までに拡充し、医師の多様で柔軟な働き方の更なる推進を図り、医師の人材の確保を図ること。

  1. 総務
  • 県政改革の推進

持続可能な行財政基盤を確立するために、事務事業の見直しや収入の在り方等を検討する必要がある。現在の試算では令和10年までに収支不足総額が255億円となることから、業務プロセスの分析と改善、公有地利活用等による税外収入の確保、公共施設マネジメントによる県営住宅や県施設の統廃合等を進めること。

県庁再整備に向けた働き方改革の円滑な推進

県庁再整備に向けた働き方改革として、県は出勤率 4 割の試行を行っているが、新庁舎を建設しない結論ありきではなく、次の点を十分に配慮すること。

・県民サービスを低下させることなく、むしろ向上させること。

・阪神・淡路大震災の教訓を活かし、職員の早期の参集、通信手段の途絶の可能性などを慎重に検討し、働き方改革が防災上のネックとならないこと。

県庁周辺の街づくりにおける神戸市との連携強化

県庁周辺のまちづくりの検討に際しては、三宮再整備事業を行っている神戸市と連携し、都心エリア全体を一体的に捉えたまちづくりを行うこと。

  • 高等学校の所得制限無しの授業料無償化

急激な少子高齢化が社会課題となるなか、子育てに関する経済的負担の軽減は国を挙げて取り組むべき問題であるが、隣県の大阪府や奈良県は国に先駆けて 2024 年度から高等学校の授業料無償化の方針を示している。兵庫県における兵庫県内 中学卒業生の進路の状況を見ると、約 98.7%が高校等へ進学しているという状況であり、公立私立に関わらず教育を支える基礎を形成している。昨今の多様性を尊重する社会情勢下において教育ニーズは多様化しており、その受入先として私立高校の役割は大きいものと考える。全ての子どもたちが経済的な事情によることなく自由な進路選択をすることができるよう、高校等の教育における経済的な負担について公私格差のない所得制限無しの授業料無償化を実現すること。

兵庫県立大学のプロパー職員の増員

兵庫県立大学は新たな経営計画を策定し、少子化時代においても競争力のある大学に進化しようとしている。この動きを後押しするために、大学運営に経験、知識、責任感を持った継続的に関わることのできる職員の確保は重要な要素である。現在多くの職員が兵庫県から出向しているが、今後プロパー職員の割合を増やすこと。

行政委員会委員の報酬の見直し

地方自治法第 203 条の2第 2 項では「報酬は、その勤務日数に応じてこれを支給する。ただし、条例で特別の定めをした場合は、この限りでない。」とされており、行政委員会委員の報酬は日額を原則とし、例外として条例で月額も可能となっている。本県でも全ての委員会の非常勤委員報酬が月額とされ、勤務の実態と報酬が合わないケースもあるとの指摘が出ている。委員会の非常勤委員の報酬は、県民にわかりやすく行財政改革の観点からも、日額化すべきと考える。このため、阪神淡路大震災による財政悪化のなか、全国で初めて「行財政構造改革の推進に関する条例」を制定し、先進的な取組みを進めてきた本県として、すべての行政委員会委員の報酬をすみやかに日額化すること。

  • 基金への積立

財政調整基金は 2023 年度末に 127 億円となる見通しであり、齋藤知事が公約として掲げていた 100 億円を 29 年ぶりに超えたことは大いに評価するところである。また、県債管理基金への積み増しも着実に進んでおり、今後も積極的に取り組むこ と。

  • 新しい働き方推進プランの早期の実施

現在本県ではテレワークの更なる活用などで、出勤率4割程度を目指している。行政事務には機密情報や個人情報を扱うことがあり、テレワークをおこなう際にそれらの情報の持ち出しや紛失等、情報保護管理体制が課題となる。情報保護管理体制を総務省やデジタル庁等の中央省庁、民間企業と連携をとりつつ構築するほか、それに伴い各事務事業についてテレワークでの執行可否を早期に明確化すること。また事務事業評価シートに、テレワークとしておこなっているものであるか、そしてテレワークとしておこなっている内容についての項目を追加すること。

  • 万博を契機とした尼崎市東海岸「のびのび公園」及び隣接水域の利活用

尼崎東海岸地区は、万博の場外駐車場が設置され万博期間中、多くの来訪者が訪れる予定である。また、西側湾内はプレミアプログラムに認定された運河クルーズの入口に位置し、映画「あまろっく」で注目されるだけでなく、子どもたちへの環境教育の場所としても今後注目が集まることが期待されている。しかし、付近一帯は、工業専用地域としての活用が計画されているため、現段階において万博のレガシーを発揮できる場所は限られている。「のびのび公園」はその中でも重要拠点になると考えられるため、公園の整備または指定管理者制度の導入による整備を進めること。

  • 財政健全化の更なる推進

デジタル技術の活用等による地方自治体の業務効率化や、公営企業の経営戦略改定の更なる推進など、改革工程表に沿って地方行財政改革に着実に取り組むこと。

兵庫県立大学の拡充

大阪公立大学は大阪府・市のシンクタンクを目指そうとしており、今後ますます優秀な人材の集積地となりうるであろう。兵庫県においても同様、核となるシンクタンク機能を有する大学が必要である。そのシンボルとなりうる兵庫県立大学に優秀な人材を獲得し、また兵庫に住んで良かったと思えるシビックプライドの醸成を図るために も、時代の最先端を切り拓く研究や教育を行う学部の新設を含め兵庫県立大学の充実に取り組むこと。学術文化の拠点として設立された「ユニティ」の更なる活用方法を模索し、神戸市に施設返還後も場所を確保し、講座を継続すること。また、リカレント教育の一端を担うため、一般市民へのオンライン講座を検討すること。

  • 兵庫県立大学の産学官の連携

産業界と連携し社会のニーズに対応した研究を積極的に行い次世代の育成のためにベンチャーとして新規産業発展に取り組むこと。

大阪府と連携した高等教育無償化の拡大

2024 年から兵庫県立大学及び大学院の所得制限なしで無償化する方針が示され、大阪においても大阪公立大学への教育無償化がスタートする予定である。現在はそれぞれの府県に在住の生徒のみ対象となっている。県や府といった垣根は学生がどこで学びたいかという思いとは関係がないので、将来的に兵庫県民も大阪公立大学へ、大阪府民も兵庫県立大学へ無償で進学できるようにするべきである。財源や公平性など様々な課題があり、これを克服し兵庫県と大阪府が連携して無償化の枠組みを拡大する制度を実現するために前向きな検討および政策研究を行うこと。

消防団活躍社会の実現

近年の県内の消防団員数は 年々減少を続けている。減少の理由は、単に人口減少のみならず、消防団への県民の理解が以前に比べて不十分になっているからではないかと考える。地域の力で消防団を支える、そしてご家族も消防団の活動を理解、協力していただく、そのうえで消防団員がやりがいをもって生き生きと活躍できる環境を整え、「消防団活躍社会」を県として創り上げていくべきである。このため、現在の県の PR 方法を抜本的に改善し、消防団員の大学生や女性も含め団員の中から公募して SNS や YouTube での発信などを通じて、広く一般県民に対して消防団の意義と活躍を楽しく PR し、親しみを持ってもらう施策を講じること。また、「ひょうご消防のつどい」において消防団の家族の知事感謝状を 10 年、15 年勤続も対象にすること。

  • ふるさと納税による NPO 法人支援

兵庫県は、1995 年の阪神淡路大震災を経験し、その中から生まれたボランティア活動から NPO 法人という共助を担う新しい法人制度がスタートし、1995 年がボランティア元年と言われるようになった。これは震災から復興した兵庫県が誇れる文化の発祥である。他方で、当時多数設立した NPO 法人は、担い手の高齢化から存続が危ぶまれる状況となり、全国に活動範囲を広げる NPO 法人は税制優遇のある他の都道府県に拠点を移している。こうした状況を改善し、もう一度兵庫県のボランティア活動を活性化するため、ふるさと納税による NPO 法人支援を実施すること。

ひょうご防災リーダーの活躍

ひょうご防災リーダーの育成事業は、平成 16 年から始まり、令和 4 年度末までに3510 人が研修を修了されている。ひょうご防災リーダーが活躍できる環境を整備することは、県の責務である。「ひょうご防災リーダー」の活躍の場を広げていくためには、消防団や自主防災組織といった既に存在する地域の防災組織の中に、防災リーダーたちに積極的に参画できる仕組みを作れば、消防団や自主防災組織の活動が、防災リーダーの参画でより活性化し活動に厚みがでる。また、活動の際には消防団基金の公務災害補償や自主防災組織のボランティア保険の対象にもなる。このため、次のような防災リーダーの活躍の場を市や町に推奨する施策を講じること。第一に、防災リーダーを消防団の機能別消防団員になってもらい広報や防災訓練の助言などで活躍していただくこと。第二に、防災リーダーを地域の自主防災組織のスタッフなどになっていただくこと。

  1. 文教

コロナ感染症は学校現場に多くの困難をもたらしたが、デジタル機器を用いたオンライン教育や、AI 等を活用した学習教材が 子どもたちの学びを支えたことは、スマート社会に対応していく契機になった。幼児教育・義務教育から高等学校、大学、高等専門学校、 専門学校、大学院まで全体が一貫性を持つことで、産業界や国際社会という社会のニーズに応える教育や学習の在り方が求められている。また、その基礎として初等教育における国語教育と理数教育も重要である。こういったことから全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、探究的な学習や体験学習を通じて協働的な学びの実現が提言され、学校は一人ひとりの子どもに対するきめ細やかな対応が必要となっている。新しい学習指導要領が本格的に始まり、授業時間数や指導内容が増加し、障がいのある子どもたちへの対応等も課題となっている。また、本県においても教員職員の働き方、いじめ問題、 不登校等生徒指導の課題も深刻化しており、これらの解決に向けた基盤を整備が必要であ る。また、経済格差が教育格差にできる限り繋がらないよう、教育の無償化は引き続き国家的な課題といえ、県としても積極的な取り組みを期待する。

  • 兵庫県下公立小・中学校の教員不足対策

本年5月1日時点での本県の教員不足の状況は小学校 73 人、中学校 61 人、高等学校 18 人、特別支援学校 12 人で、合計 164 人の教員不足が発生している。昨年の 10 月から県内 3 か所で、教員免許を持っていて経験がない方(ペーパーティチャー)や教育現場から長く離れている元教員を対象に、加東市、姫路市、神戸市中央区の3か所で講座を開き 131 人が参加している。今後、会場の増加や内容を工夫し幅広い人材の確保発掘等、教員(講師)の確保に努めること。教員不足解消に向けた取り組みとして本県では講師登録人材バンクを設置し令和 5年6月9日時点で 1,585 人登録されている。希望する者には学校とのマッチング方法で臨時講師や非常勤講師として派遣されるが、これら講師の中には不安定な身分で不安を抱えている者が多い。教員採用試験では臨時講師等に第1次選考試験で加点しているが教諭として採用できるよう更なる拡充を図ること。また、不登校特例校増設に際し、一斉授業にこだわりのない教員を募り、教員の掘り起こしを図ること。

  • 多様な人材の確保

兵庫県公立小学校の 2023 年度の教員募集者数は 365 人で倍率が 4.5 倍、公立中学校は 285 人で倍率が 3.9 倍で小学校は中学校より比較的高い倍率を保っているものの 2022 年度全国の公立小学校では採用試験の倍率が 2.5 倍で 4 年連続、過去最低を更新している。倍率の低下は教員の質も下がることが懸念される。質の高い多様な人材確保のために「特別免許状」や社会人が受験できる「特別選考」更には「教員試験実施回数」の増加に取り組むこと。

  • 教員の長時間労働の改善

令和 4 年度本県の教員おける超過勤務時間は小学校で月 35 時間、中学校月 71時間になる。令和元年度の勤務実態調査結果から改善されているものの依然として長時間労働の教員は多い。残業の過労死ラインが月 80 時間とされているが、特に中学校教員の長時間労働の解消は急務になっている。教員の負担を軽減するためにも複数担任制や事務仕事を受け持つ人材、優秀な専門人材を確保し能力を発揮できる配置を行い、教育現場で働く教員の働き方改革を着実に行うこと。通知表の所見の廃止、勤務時間外の留守番電話の導入、キャリアパスポートの廃止、総合授業の検討など、今までのルーティンを抜根的に見直し、労働時間削減に努めること。

  • 心の病による休職者対策

令和 4 年度の本県における 90 日を超える精神疾患での休暇等取得者は、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、事務等合わせて 257 人となっている。毎年増加しているが休職した教員の年代ごとの割合は特に、20 代から 30 代が高い傾向にある。現在、中堅教員が少なくなってきているが、若手が気軽に相談できる相手が少なく学校内でのサポートも薄いことが考えられる。スクールカウンセラー(臨床心理士等)を増員し相談できる体制を整えることで環境改善が図られるよう努めること。

  • 不登校特例校の実施

政府は、不登校の子どもを対象に柔軟なカリキュラムを組める不登校特例校について全都道府県への設置を目指している。特例校はフリースクールと異なり元の学校から転校でき通常と同じ卒業資格を得られるメリットがある。2017 年施行の教育機会確保法で国や自治体による設置が努力義務とされているが、現在、全国で 21 校程にとどまる。兵庫県下でいくつかの自治体が特例校の実施に向け検討しているとのことであるが、教員の確保や財政的な制約などの課題がある。本県としても積極的に市町に支援を行うこと。

  • インクルーシブ教育の実現

本県では 2012 年に開校した兵庫県立阪神昆陽高校と高等部のみの阪神昆陽特別支援学校はインクルーシブ教育を目的に、同じ敷地内に設置されている。校長は同じで教員も両校で指導できる。また、両校の授業の組み入れや卒業単位に参入できるなどの先進事例がある。今後も、インクルーシブ教育を掲げ障害ある子もない子も共に学ぶ環境整備が実現するよう取り組むこと。

  • 児童生徒の体力・運動能力の向上

初等教育を中心に学校教育の全般を通じ、児童生徒の基礎体力・運動能力の向上を図ること。そのためにも食育と健康教育の充実を図ること。

  • 読書活動の充実

子どもの本への関心を高め読書習慣の定着を図ることはその後の人生を豊かなものにする。読書好きの子どもを増やすことは、文教施策全般の充実にとっても有用なことであるので「ひょうご子どもの読書活動」を更に充実させること。

  • 高等学校教育における人権教育の充実

人権侵害問題であると同時に国家主権の侵害問題でもある「拉致問題」を授業で取りあげ、県作成の「拉致問題」啓発ビデオを県下全高校生が視聴するよう推奨し人権教育の充実を図ること。

  • 家庭と地域による学校と連携した教育の推進

学校・家庭・地域が連携、協働する仕組みを一体的に推進するとも共に、「学校内学習塾」や「世の中科等の放課後講座」など、先進的事例の導入を検討すること。

  • 兵庫県立高校入試制度の改善

第2志望校への回し合格の規模により、本来の第 1 志望校が不合格となってしまうケースがあるため複数志願制度の見直しを図ること。主要5科目の4倍換算と副教科4科目の 7.5 倍換算の乖離が大きいため、内申点評価の比重を再考すること。当日の試験で挽回、逆転できる可能性を高め、挑戦、逆転、あきらめさせない入試制度にするため、内申点(250 点満点)と当日試験(250 点満点)の比重(1対1)を再考すること。

  • 塾代助成の制度設計を検討

塾や習い事など、学校外教育負担の軽減策を検討すること。特に中学3年生を先行すること。受験生の学習塾代は、子育て世代の経済的負担が大きいことから、事業者への補助ではなく受益者への補助とすること。

  • 生成AIに対しての著作権教育の充実

生成AIについて情報の真偽、信憑性の判断ができる学年に対しての限定的使用であること。また、著作権侵害等を起こす可能性の高い作文活動には細心の注意喚起と添削指導を行うこと。

  • 義務教育の少人数学級の完全実施に向けた議論

文部科学省が実施した 「今後の学級編制及び教職員定数に関する国民からの意見募集」では、約6 割が「小中高校の望ましい学級規模」として26人~30人を挙げている。教員からは子どもに丁寧な対応を行うために、一クラスの学級規模の引き下げが望まれている。一方、財政制度等審議会の資料では少人数学級が学力に与える影響は軽微であるとの意見もあることから、本県でも独自に様々な角度から調査、研究等を行い、理想の学習環境を模索していくこと。

  • いじめの対応強化

本県のいじめ対応については、自治体によって様々であり、各首長の関心や政策方針により施策の重点箇所は異なると認識しているが、いじめの対応については県教育委員会が市教育委員会に対して助言を行い、責任をもって未然防止・早期発見・早期対応を対応すること。また協議会や相談窓口を作り、スクールポリス等の第三者機関が学校現場に介入できるよう環境整備を行うこと。

不登校児童生徒が別室指導を受けられる環境整備

近年全国的に増加している不登校児童生徒が登校する際に、学校における居場所として常時別室指導を受けられるよう環境整備や人員の確保に関する支援を行うこ と。

  1. 産業労働
  • 景気対策

はばタンペイプラス(プレミアム付きデジタル商品券)の運用について事務経費や予算の毀損率を含めた効果検証を行い、一過性ではなく持続可能な形の景気対策を構築していくこと。

  • 事業承継

兵庫県の経営者の平均年齢が71.1歳であり、今後もこの傾向がより強くなると予想される。その半数近くが黒字倒産とされ、GDP の低下に繋がりかねない。新たなビジネス創出に意欲的な人材と地域課題の解決に取り組む事業とのマッチング機会を構築し、新たな視点や DX を活用して産業の発展につなげること。

  • 外国人就労の積極活用

コロナの影響緩和とともに、全体として求人が求職を上回って推移している。特に介護サービス業・製造業・販売では求人超過となっておりミスマッチが生じている。兵庫県は在籍外国人留学生数が全国上位にあるにも関わらず就職者数は低水準にあることから、外国人留学生採用ワンストップ相談窓口を積極的に活用するように促すとともに、来日当初の日本語研修、特定技能外国人の介護福祉士資格の取得に要する経費の補助対象を拡充強化することなどで、このミスマッチの解消に力を入れ、就職率の上昇につなげること。また、県の開催するセミナーでどこの国から外国人技能実習生、特定技能外国人が何人本県に来られているのか、給料の例などの情報、さらに県内の監理団体や登録支援機関の費用の例を示し便宜を図ることを通じて、受け入れ法人数を増やす努力をすること。

  • 広域観光

大阪・関西万博に来場見込みは約2800万人と言われている。その経済波及効果を高める為にも宿泊施設やリゾート等のハード面の誘致を支援し、受け入れ態勢を構築すること。合わせて御食国ひょうごのプロモーションを強化し、観光客単価の向上を図ること。また、県市一体となり観光プロモーション訴求や周遊施策に積極的に取り組み、国内誘客の推進とインバウンド誘客の更なる促進を図ること。

  • 大阪・関西万博を有効活用した兵庫の PR

大阪・関西万博のメインテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」であり、兵庫県は「神戸医療産業都市」を有している。メインテーマにつながる「医療」「研究」などをフィールドパビリオン等で有効活用し、万博を活かした兵庫の魅力を発信すること。また万博に関心がある場合でも遠方など様々な理由で、万博やフィールドパビリオンに来場できない方へ兵庫県の魅力をアピールする可能性を探るべきである。大阪・関西万博への来場者への PR にとどまらず、例えば「淡路島、丹波、神戸ビーフ」など兵庫を代表する農産物を万博会場のレストラン・フードコートの事業者に安価に提供する代わりに、メニュー表などに「淡路島、丹波、神戸ビーフの〇〇」などと掲載してもらい、マスメディア(TV、雑誌)や個人が SNS に取り上げるなど「兵庫」を全世界へ拡散してもらいやすいように取り組み、万博を活かしたアピールに努めること。

  • スパコン「富岳」の積極的な産業活用

世界トップクラスの総合的な実力を持つスーパーコンピュータ「富岳」は産業応用で使う機能は 7 期連続でトップを維持している。その機能性を積極的に企業に周知し、力強い利活用を促進すること。

  • 市街化調整地域での規制緩和による商業の醸成

市街化調整区域の厳しい建築制限によって地域の衰退が進んでいる。県としては、規制緩和を望む市町には、地域の特性を踏まえた計画策定や無秩序な開発を防ぐ手だての導入を求めることを進めているが、市町の地域復興に向けた意見をさらに積極的に取り入れ、市街化調整区域での商業発展を弾力的に促進すること。

  • スタートアップ支援

起業は、新しい産業や就業機会を創り出すとともに、経済成長をもたらす大きな原動力となる。特に、 これからの社会を支えていく若者世代が起業しやすい環境を作っていくことは、若者個々人の人生の 選択肢を広げるという意味合いとともに、持続的な経済成長を実現していくうえで大変重要である。県としても スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築や資金供給の強化と出口戦略の多様化 、そして、オープンイノベーションを力強く推進すること。

  • ツーリズムの推進

ポストコロナ社会において、ツーリズムの捉え方が変わり、今までのように現地に訪れるだけでなく、デジタルによる疑似ツーリズムの増加や、誰もが価値を見出す観光地への来訪から自分の嗜好に応じてコンテンツの在り方が多様化するといった変化が起きている。県として的確にニーズを把握し、旅行者のみならず受入地域のニーズにも適合させて、現在と未来の経済・文化・環境に配慮した持続可能な観光地域づくりに取り組むこと。

  • コロナ収束後のインバウンド戦略

兵庫県固有の温泉・旅館・和牛やカニ・鱧などの食・文化・歴史などの観光資源・文化資源を磨き上げ、地域社会・経済に好循環を生む観光地域づくりの取組を展開し、観光地・観光産業の再生について、複数年度にわたる計画的な支援策を行うこと。

  • 関西3空港の機能維持・強化

コロナ収束を見据えて空港の需要の回復が期待される。規制緩和によって神戸空港の新たな展望が期待されることになったが関西3空港を一体と考え、関西空港の回復と成長に向けた将来航空需要の精査を進めながら、伊丹空港については地域社会との共生を考える都市型空港として役割、また神戸空港は国際化を力強く推進し、関西3空港の機能維持・強化し関西の中の兵庫の活性に努めること。

  • 中小企業の経営支援

官民金融機関や信用保証協会等による経営支援の強化、返済猶予等の資金繰り支援、債務減免を含めた債務整理等に総合的に取り組み、経営者保証に依存しない融資慣行を推進するなど、感染症の影響等への対応で債務が増大している中小企業等の収益力を改善し事業再生に向けた支援を強化すること。

  1. 建設
  • 地域の公共交通の確保

高齢化が急速に進む中、地域公共交通で住民の足を確保して買い物・医療難民等をなくすことは、政治が住民に対して保障する生活の最低水準、すなわちナショナルミニマムであり、福祉政策でもある。県内では、高齢者など交通弱者が公共交通から取り残されている公共交通空白地域がまだまだ数多く存在する。バス、タクシーのみでは十分な移動サービスが提供されない過疎地域などで、住民 の日常生活における移動手段を確保するため、国土交通大臣の登録を受けた市町、 NPO や自治会などが運行する白ナンバーのワゴンタイプの車等の運送形式、すなわち「自家用有償旅客運送」は、運賃は、バス運賃程度か、タクシー運賃の 1/2 程度で設定されている。高齢者などの交通弱者が、県内どこにお住まいでも買い物難民や医療難民をなくし、最寄りの鉄道駅にアクセスできる公共交通の足を確保することは、県政の重要課題である。「自家用有償旅客運送」の制度も活用し、県内の公共交通空白地域をなくすようにしていくこと。

ライドシェアの推進

近年、過疎化や高齢化・人手不足の影響で特に過疎地域での交通手段の不足が社会課題となっている。ICT 技術の進歩により携帯電話を利用した配車・決済手段も多様化しており、交通手段確保の方法としてライドシェアに対する期待が高まっている。公共交通の一翼を担うタクシー業界への一定の配慮をしつつ、ライドシェアを導入し県民の移動ニーズに的確に応えられるよう国、市町と協力して推進すること。

  • ローカル鉄道の存続と駅舎のバリアフリー化の推進

ローカル鉄道は地域の最重要の社会資本であり、その存続は高齢化が急速に進む中、高齢者など交通弱者が買い物難民、医療難民になることを防止する福祉政策であり、一度無くなれば復活は不可能である。県内の JR 赤字路線に関して、路線の維持・存続に向けて、周辺自治体とともに国への関与を強め、利用促進と利便性向上を図りながら沿線を活性化すること。また、高齢者や障がい者などに優しい駅舎のバリアフリー化に取り組むこと。

  • 土砂災害の防止と安全安心の確保

近年、集中豪雨による土砂災害が県内でも頻発している。山間部の土砂災害の危険な地域では、災害弱者の高齢者が数多く居住しており、不安の中で日々暮らされている。そこで、土砂災害警戒区域や特別区域の見直しを不断に行い実態に合った地域指定を行うこと。また、必要な急傾斜地崩壊対策事業を速やかに行い、地域の安全安心の確保を図ること。

  • 河川のゴミの除去

河川へゴミを捨てる行為は河川管理上の機能を損なう恐れがあり防災上も問題があるため、「河川法」「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」など関係法令で罰則規定が設けられている。現在、県では下流の地元自治会などに依頼し、河川にオイルフェンスなどを設置し、ゴミを収集撤去している事例がみられるが、一部の自治会に過大な負担を強いるものである。このため、必要な予算を確保し、ゴミの収集を上流、下流の流域全体として県においてゴミ対策に取り組むこと。地元市町とともにゴミの河川への投棄を防止する啓発に取り組むこと。

  • 道路ネットワークの整備

地域発展の拠点となる地方都市間を効率的に連絡するために、播磨臨海地域道路 を始め、名神湾岸連絡線、大阪湾岸道路西伸部、神戸西バイパス、東播丹波連絡道路、東播磨道北工区、北近畿豊岡自動車道、山陰近畿自動車道などの整備計画を加速させ、地域相互の交流の円滑化に努めること。

  • 防災・減災対策の推進

インフラの長寿命化によるライフサイクルコストの低減を図るため、予防保全の老朽化対策への転換を推進すること、また災害発生直後の被災状況を的確に把握するためドローンによる空撮やレーザースキャナによる図化等、デジタル技術の活用を推進すること。

県営住宅と市町営住宅の一元化

「ひょうご県営住宅整備・管理計画」に基づく県営住宅の整備を進め、県営住宅と市町営住宅が隣接する区域は関係する自治体と連携し、県営住宅の効率化を図り、地域の活性化や人口が増える政策を推し進めること。