令和 7 年度当初予算編成に対する重要政策提言
/
令和7年度当初予算編成に対する
重 要 政 策 提 言
維新の会兵庫県議会議員団

令和6年9月13日
兵庫県知事 齋藤 元彦 様
維新の会兵庫県議会議員団
団 長 岸口 実
幹 事 長 門 隆志
政務調査会長 飯島 義雄
令和7年度当初予算編成に対する重要政策提言
世界各地で相次ぐ紛争・戦争により、日本や世界を取り巻く環境は混沌としています。食料やエネルギーなどの物価の高騰は常態化しており、出口は未だ見えません。そして、地球温暖化など世界が協力して解決しなければならない様々な課題が顕在化しています。
国内では、コロナ禍を経て社会経済活動の正常化が進み、大企業の業績は好調であり、株価も上昇基調にもあるものの、その恩恵が全ての国民にはもたらされていない状況です。継続するインフレにより実質賃金は減少しており、人手不足も進行するなか、既存のシステムを見直し、生産性を向上させる改革が求められます。
特に、東京一局集中が進むと同時に、地方は疲弊しており、兵庫県も例外ではありません。少子高齢化、人口減少に立ち向かい、本県の活力を維持し高めていくためには、県政改革を進め、新たな財源を生み出し、今後の本県の発展に資する施策を着実に実行していく必要があります。
我が会派としても、県の進める行財政運営・改革を後押しするとともに、様々な政策提案を行うことで、よりよい兵庫県をつくっていきたいと考えています。
このような点を踏まえ、令和7年度当初予算編成にあたり、維新の会の重要政策提言として以下にまとめましたので、よろしくお願いいたします。
維新の会兵庫県議会議員団
団 長
農政環境常任委員会委員 岸口 みのる (明石市選出)
顧 問
警察常任委員会委員 徳安 淳子 (尼崎市選出)
幹事長
総務常任委員会委員 門 隆志 (宝塚市選出)
政務調査会長
建設常任委員会委員 飯島 義雄 (姫路市選出)
広報委員長
健康福祉常任委員会委員 鍔木 良子 (加古川市選出)
副幹事長
産業労働常任委員会委員 佐藤 良憲 (伊丹市選出)
副幹事長
総務常任委員会委員 大矢 卓志 (神戸市垂水区選出)
副政務調査会長
産業労働常任委員会委員 白井 たかひろ (神戸市灘区選出)
副政務調査会長
農政環境常任委員会委員 住本 陽子 (神戸市須磨区選出)
副広報委員長
文教常任委員会委員 中村 大輔 (神戸市北区選出)
健康福祉常任委員会委員 高橋 みつひろ (神戸市西区選出)
産業労働常任委員会委員長 増山 誠 (西宮市選出)
文教常任委員会委員 斉藤 なおひろ (川西市・川辺郡選出)
文教常任委員会委員 青山 暁 (芦屋市選出)
健康福祉常任委員会副委員長 長崎 寛親 (神戸市兵庫区選出)
農政環境常任委員会副委員長 なかい 隆晃 (神戸市長田区選出)
建設常任委員会委員 赤石 まさお (神戸市東灘区選出)
警察常任委員会委員 大原 隼人 (尼崎市選出)
建設常任委員会委員 さかた たかのり(姫路市選出)
警察常任委員会委員 脇田 のりかず (西宮市選出)
総務常任委員会委員 北村 智 (神戸市中央区選出)
1.農政環境
兵庫県は、五国(摂津・播磨・但馬・丹波・淡路)の気候・風土に根差した多彩な農林水産業が営まれており、これまで県民生活に欠くことのできない食料を安定的に供給し、古くから引き継がれてきた伝統文化とあいまって、潤いと安らぎに満ちた空間を提供し、一方で災害時の環境保全等の多面的機能を有してきた。しかし、全国的な農林水産業を取り巻く状況は厳しさを増しており、本県においても人口減少や高齢化による担い手の減少、荒廃農地の増加、基幹的施設の老朽化
の進行に加え、不安定な世界情勢に起因する燃油・肥料・資材の高騰など多くの課題が顕在化している。こうした国内外からの厳しい状況の中、次代を担う力強い担い手の確保・育成に努め、その担い手へ集約化を進め、また収益性の高い農林水産物への移行等により儲かる農水産業を実現し、経営の安定化を図っていくことが重要である。さらに、地域が描く将来の展望が農水産業にとって最適な環境となるよう、最先端技術を駆使したソフト施策との連携を強化し、新技術の活用や施設の統廃合・再編や最適な施設規模の検討により、コスト縮減を図るとともに、より一層の効率的・効果的な農水産業の持続的発展を図ることが重要である。また、地球温暖化による異常気象や大規模災害が頻発し、地球規模で環境問題に取り組む重要性が増している。2050年カーボンニュートラルに向けて人々のライフスタイルを大きく転換させるため、県民への更なる省エネ型経済活動の普及啓発、次世代を担う子どもへの環境教育の推進にも取り組んでいくことが重要である。
●持続可能な農業の推進
鳥獣対策、家畜疾病対策に努め、中山間地域の農地を保全し兵庫の特徴である集落営農者の経営安定等に努めると同時に、担い手の法人化など農地の集約化もさらに進めていき持続可能な本県農業を模索すること。またスマート農業技術を推進していくために技術研修で就農者を育て、コスト高の対応に取り組み、生産性の向上に努めること。さらに、生産から販売、消費に至るまでの食料システム全体での環境負荷低減を図る取り組みや技術の導入を支援し、県民理解の醸成に向けて環境負荷低減の「見える化」を推進していくこと。
●有機農業の推進
本県は、環境創造型農業で先進的な取り組みをしてきたことから、有機農業へ取り組む農業者、新たな就農者への支援を一層強化すること。技術指導の支援に加え、手間のかかる栽培に対する人手の確保など経営のサポート、販路拡大支援は本年からスタートしたところであるが、消費拡大のためには、食の安全性と土壌汚染や生態系の保全という社会的意義を消費者に理解してもらう施策にも注力する必要がある。そのためには、学校給食において県産オーガニック食材を提供し、食品の品質や安全性についての知識を身につけさせることは大変重要である。また「兵庫のめぐみ学校給食」で行うPR活動などを拡大し、有機野菜や地産地消の取り組みを児童生徒はもちろん、保護者や地域住民にまで広く推進していくため、県市町一体となって取り組むこと。
●兵庫県産米の生産力の強化
本県の稲作は、田の面積が狭く一戸あたりの収穫量が少ない。生産費の内訳は労働費、ついで農機具費が高くなっており、儲けが少なく、兼業農家が多いのが課題である。高コスト体質を改善するために、担い手への農地利用の集約や高度な集落営農を進めること。また、高度化する消費者ニーズを捉え、高品質食味米や安全・安心な米などブランド力を高め産地間競争に負けない生産、流通体制を整備すること。特に、近年の夏季高温による品質低下に対応するため品種改良に取り組んできたオリジナル米は来年度のデビューに向けて、広報に力を入れること。
●おいしいごはんを食べよう県民運動の強力な推進
この運動は阪神淡路大震災を契機とし平成9年から続くもので、「健康的な食生活の実践」「将来的な食料確保」「環境を守る」「災害に備える危機管理」の4つを柱としている。27年もの長きにわたるこのような取組は他県では類を見ないが、本運動がどこまで県民に浸透し、普及しているのか分かりづらい面もある。震災30年を迎え、県として本運動を強力にバックアップし認知度の向上に努めること。
●ひょうご(HYOGO)の酒のブランド力強化
本県は酒米(山田錦)の全国シェア1位を誇り、日本3大酒蔵の灘五郷を持つ。国内需要やインバウンド需要の拡大と「ひょうご(HYOGO)の酒」のブランドを一層強化するためにも、例えば地域ごとに開催されている酒まつりを、一堂に会する「ひょうご(HYOGO)の酒まつり」として開催したり、兵庫の玄関口となる新神戸駅周辺などに日本酒博物館を設置したりするなどを検討すること。
●農業の6次産業化支援の促進
農作物の加工販売や農家レストラン、農家民宿、収穫体験などの6次産業化は、農家の所得向上、雇用の創出、観光客の増加、地域のブランド化にしっかりと繋げるために、経営などの相談体制の強化やプランナーの派遣、県内の成功事例の積極的な発信などに努め、安定的な経営を支援すること。特に需要の高まっている直接加工販売は、商品開発や衛生管理システム導入などのための資金を補助して促進していくこと。
●農福連携の取り組みの推進
現在の日本の農業を支える平均年齢は67歳と高齢化しつつあり、また今後農業従事者の担い手不足が長期課題となっている。一方、福祉の分野では障害者の就労意欲が高まっており、障害者が職業を通じて生きがいをもち、自立した生活を送ることが出来るように求められている。この様な背景から、「農福連携」が、農業分野の担い手不足対策、働き手の確保として期待されている。
しかし課題は多く、障害者といっても、身体障害・知的障害・精神障害など一人一人の障害特性が異なり、各障害者のマッチングが必要となる。例えば、障害者の特性に応じた職種の吟味と雇用・就労をするためには農園の設備の充実やトイレなどの附帯設備などの整備を進める必要がある。また障害者サポートのための業務の創出・人事制度の整備も必要となるなど、施設の整備といったハード面だけではなく、実際に働く障害者の研修を担うジョブコーチを派遣してもらい、障害者が仕事を覚えるためのマニュアル作成や、精神面で仕事にいきづまった際の障害者をサポートする体制構築などといったソフト面での整備等多岐にわたる支援が必要である。このため、県としてもこれら多くの課題を一つ一つ解決し障害者にとって働きやすい環境づくりを積極的に推進すること。
●ため池の保全と東播用水の体制整備の推進
東播地区におけるため池の重要性は、先人の血と涙と汗をきざまれた東播地区の農業の歴史そのものである。ため池の保全県民運動第2期推進運動(令和5~7年度)を遂行するにあたり、県民のため池に対する意識向上を図るとともに、ため池保全に向けた着実で、適正な管理が行われるような体制整備や、耐震化等の防災・減災機能の向上と老朽化対策の推進を着実に実行すること。
●密漁の防止の強化
兵庫県のほとんどの沿岸海域には共同漁業権が設定されており、その区域内では共同漁業権の免許を受けた漁業者以外の人物がこの権利を侵した場合、漁業権侵害として罰せられることとなっている。しかし最近、密漁がレジャー化していたり、一部では暴力団の資金源になっていたりするケースが新聞報道等で取り上げられている。これらの防止の観点から、特定の水産資源に係る採捕の禁止期間や、地域毎に漁業権が設定されている水産資源等を世間に周知する活動を展開し、兵庫県漁業調整規則等関係法令の励行が徹底されるよう密漁防止に向けた取組強化を行うこと。
●2050年カーボンニュートラルに向けての温室効果ガス削減の取組強化
兵庫県の「温室効果ガス部門別排出量(2021年度)によれば、産業部門からの排出量が66.8%を占めており、全国(排出量35.1%)の約1.9倍となっていることから、産業部門への温室効果ガス削減の取り組みが大きな課題と言える。兵庫県地球温暖化対策推進計画(令和4年3月改定)では、2030年の温室効果ガスを48%削減(2013年度比)の目標を掲げている。産業労働部との更なる連携を図り、目標達成に向けた環境政策をブラッシュアップさせること。
●安心で安全な農業・農村づくりの推進
兵庫県は地震や台風などの自然災害が頻発する地域である。特に近年は集中豪雨が多発し、将来へ向けて年間発生件数が増加することが予測されている。大規模災害から農村住民の生命・財産を未然に守るための総合的な防災・減災対策を推進することが重要である。このため広域的な視点で、ため池改修や排水機場の整備、地滑り防止対策等のハード整備を展開するとともに、農地災害の予測や情報システムの整備、ハザードマップの整備等のソフト対策を推進していくこと。また、地域住民の管理活動への参画など地域とのつながりを重視した対策を着実に進めていくこと。
●スギの植え替え促進
政府は2023年度版の森林・林業白書において、社会問題となっている花粉症対策として、発生源となるスギ人工林を33年度までに約2割削減する目標を掲げ、スギ人工林の伐採と花粉の少ない品種への植え替えを促進する方針を示した。 本県においても、発生源対策としてスギ材の需要拡大のために、住宅分野におけるスギ材への転換促進を着実に実行すること。また、少花粉症スギなど花粉症対策苗木の生産拡大に取り組み、スギの伐採地への植栽や、条件不利地においては伐採後の広葉樹の導入に取り組むこと。そのための労働力の確保として、林業体験や担い手育成の研修などに力を入れること。
●瀬戸内海の栄養塩管理計画の推進
環境保護や脱炭素の名目で県民生活や経済に過度な負担を与えないよう、環境政策は適度な実施が肝要である。高度経済成長期に発生した赤潮対策として瀬戸内海環境保全特別措置法が制定され我が県においても周辺海域の水質改善が実現したが、行き過ぎた対策により栄養塩が不足し漁獲量の減少や海苔の色落ちなどが発生している。環境保護に関する政策を実施する際は環境面だけでなく、その及ぼす影響を将来的、多角的に分析し、実施の要否を判断すること。
●林業が持続できる仕組みづくりの推進
林業は後継者不足や木材価格の低下などにより経営が困難な状況が続いている。2023年にはウッドショックで木材価格が高騰したことにより経営環境は改善するかと思われたが、これまで続いてきた長年にわたる経営へのダメージからすぐに増産できる余力や体制が整っておらず根本的な復活には至っていない。人工林を管理していくことは土砂災害など防災上の観点や、杉やヒノキの花粉対策といった観点からも必要である。ウッドショックへの対応では川下、川中、川上への支援を実施し原木生産の増加など一定の成果を上げている。
原木価格の高騰時にすぐ増産できる体制を維持していくことは、林業の経営安定化や就業人口の確保など現在林業が抱える問題の解決に必要不可欠である。
このため、原木価格の変動による林業経営の不安定さを、県発注の業務で緩和する需給安定施策を研究し実施すること。
2.警察
県下の刑法犯認知件数は平成14年をピークに減少を続けてきたが、一昨年から増加傾向にあり、一層の警察力の強化、体感治安の向上を目指さなければならない。
とりわけ多発する殺人事件や強盗事件などの重要犯罪をはじめ、高齢者が被害者となる特殊詐欺、ストーカー・DV、虐待事件等、複雑巧妙化する事件への対応が求められることから警察官の資質向上に努めなければならない。
また、県下に拠点を置く指定暴力団対策の強化や、若者の大麻、合成麻薬などをはじめとする薬物乱用防止対策の強化が必要である。
インターネットを使った新たな犯罪、とりわけ被害が深刻なSNSによる「なりすまし投資詐欺」にも対処することが求められる。
●警察組織の強化
警察組織については日ごろからの地域との交流、情報収集による事件発生の未然防止、体感治安の向上が維持できることが肝要である。警察署の統廃合後も、パトカーの巡回の強化をはじめとする「見せる警戒強化」を図り地域の安心安全の維持に努めること。
また、新人教育をはじめとする警察官の資質の向上とともに、多発する警察官の不祥事の根絶を図り県民からの信頼回復に一層努めること。
●警察の働き方改革の強化
県民のための「強い警察」を維持するために、警察では重要な任務として柔道、剣道や逮捕術といった武道による修練を奨励し、多くの警察官が日々訓練に励んでいる。しかし、近年の夏場の異常な気温上昇により武道場の気温も健康を害するレベルに達している。働き方改革の視点からも武道場等における空調の適正な使用を図るとともに、各署や各部隊で運用が異なることのないように県警として空調使用状況の把握を行い、警察官の体調管理に努めること。
●活動基盤の整備強化
警察署、交番・駐在所の長寿命化を図るためメンテナンスを行うとともに修繕計画を策定すること。機動隊、レスキュー隊の資機材についても更新、充実を図っていくこと。
また防犯カメラは、近年の捜査に大きな役割を果たしており、更なる設置対策の強化が必要である。
限られた予算内で全てをまかなうことは困難なことから、民間が所有する防犯カメラやドライブレコーダーが活用できるよう民間企業や諸団体と協力協定を結ぶなど、民間の設備の活用を積極的に検討すること。
●ストーカー・DV・虐待事案への対応力強化
県下での、DV・幼児虐待事案が重大事件に発展している事案が後を絶たない。
県・市の関係機関には日常から一定の情報の蓄積がされており、近隣住民も何らかの異変に気付いているケースが見られる。
重大事件に発展する危険性の除去、事態の急展開を未然に防ぐ対策が急務と考えることから県・市の関係機関との情報共有、地域からの情報収集の強化に努めること。
●特殊詐欺事案への対応力強化
昨年度より県下で高齢者が被害となる特殊詐欺事件が急増している。
これまで高齢者世帯への録音機能付きの電話機の設置などを進めてきたところであるが、防犯カメラの設置など新たな対策が必要である。また、金融機関、コンビニエンスストア等の協力による事件発生防止が多く見られることから民間機関との一層の情報提供、連携強化など未然防止に向けた取組を進めること。あわせてSNSによる所謂「闇バイト」への対策強化を図ること。
更に、SNSによる「なりすまし投資詐欺」について我が会派主導で国へ意見書を出しているが、県内でも被害が激増し被害額も高額であることから、犯罪の手口の周知等県民への防犯対策を強化すること。
●暴力団追放運動の支援と取り締まりの強化
暴力団対策法施行以降、暴力団追放運動が県内でおこなわれているが、暴力団事務所に認定できず、県警が踏み込めない事案なども見受けられる。長年暴力団追放運動に取り組まれた地域住民の疲労困憊に留意すると共に、諦めムードを打破しなければならない。
神戸市とも一体となって暴力団事務所の早期撤去と取り締まり強化を図ること。
また、暴力団対策法の適用外となる反社会的勢力「半グレ」などの犯罪集団の実態把握と取り締まりを強化すること。
●若者の大麻乱用防止対策の強化
大麻や合成麻薬の所持、使用による芸能人や若者の検挙者が急増している。
大麻や合成麻薬は、より強い副作用や依存性の高い覚せい剤などへの薬物の入口とされているが、SNSの普及に伴い危険性を軽視する間違った情報に接しやすく、また安易に入手出来る環境にある。
このため取り締まりの強化とともに、大麻や合成麻薬をはじめ薬物の危険性の周知徹底と乱用防止啓発活動への取り組みを強化すること。
●警察装備の技術研究への積極的投資の推進
昨今の技術進歩により安価で小型なボディカメラやドローン、テーザー銃など事件解決や暴動鎮圧などに有効と考えられる装備が開発されている。
特にドローン技術の進歩は著しく、捜査の初期段階において通報と同時に現場にいち早くドローンを派遣し状況を把握することも技術的には可能となっている。
このような装備の実証研究や技術開発を警察庁に提案するとともに、開発にあたっては積極的に協力すること。
●新たな銃器犯罪を予防するための対応強化
県内では拳銃をはじめとした銃器使用による殺人事件が後を絶たず、県民の大きな不安となっている。従来は、暴力団等による拳銃事件がほとんどだったが、一昨年の安倍元首相暗殺事件のように、現在では3Dプリンター等の最新工作機を使った銃器の自作、使用を一般人が行うことが可能となっている。そこで、主な情報源となるインターネットのアクセス分析をはじめとする情報収集活動を密にし、新たな手法で銃器犯罪を未然に抑止するための対応を強化すること。
●外国人犯罪防止への支援強化
近年、県内各地においてベトナム人をはじめとする在留外国人の人口が急増している。地域社会との軋轢を生じないようにするために、在留外国人との交流によって情報収集することが必要となる。他国の警察組織との交流事業(海外語学研修含む)の実施や翻訳アプリの活用など、現場の警察官がしっかり在留外国人とコミュニケーションがとれる体制をつくること。
●自転車への「青切符」導入にあたる啓発活動の強化
近年の自転車事故の増加を踏まえた改正道路交通法による、自転車の「青切符」施行までのこの2年間は、啓発活動が大変重要である。交通安全教室でしっかり伝えていくとともに、飲食店に対しては「自転車での酒気帯び運転」禁止を直接指導することが効果的だと考える。例えば、深夜酒類提供飲食店営業開始届等に付随して行うなど、実効性のある啓発活動を行うこと。
●阪神間における留置施設の設置
犯罪認知件数や検挙人数は地域間で大きな差がある。特に阪神間においては認知件数も検挙人数も多く、留置施設の収容人数が足りていない。当該警察署内では収容しきれない場合も多く、尼崎や西宮など阪神間で検挙した容疑者を姫路などに留置することもある。取り調べにあたり遠くの警察署まで警察官が出向く必要があるなど設備不足による時間のロスや無駄が生じているため、特に検挙人数の多い阪神間に留置施設を設置すること。
●ハラスメント対策の強化
大阪府警では2023年の処分対象者延べ250人のうち、4割弱がパワハラやセクハラが処分理由となっていた。本県警察においても署長がパワハラで処分された事案が発生している。管理職へのハラスメント研修受講の義務づけや、各署におけるハラスメント対策部署の機能強化など、働きやすい職場づくりは今後の人材確保の観点からも重要であると考える。加えて、カスタマーハラスメント対策も必要である。例えば、職務質問の動画をSNS上にアップされることが増加しており、警察官のプライバシーへの配慮、正当な職務行為阻害するような行為に対しては毅然と対応する必要がある。職務質問、窓口対応、捜査協力等のあり方について指導体制を強化し、警察活動に対する県民の理解と協力をより一層得られるような体制をつくること。
3.健康福祉
県民が安心して適切な医療を受けることができるよう、地域医療の提供体制(地域の中核的病院、医師・看護師、必要な医療機関等)の確保に取り組むことが重要である。また、へき地医療のみならず、なり手の少ない産科や小児科、救命救急等の分野での医師確保を図る新施策が必要と考える。赤字が恒常化している県立病院については新たな病院事業改革プランを立案すべきである。
県民の健康寿命を伸ばすため、本県特有の課題分析を十分行うとともに、分析に基づく具体的で実効性のある全県的な取り組みが必要である。また、今後の高齢者福祉を支える介護人材の確保は、いわゆる「団塊の世代」が今後10年間で後期高齢者に移行することから、喫緊の課題である。
高齢化対策としての認知症の早期発見・早期治療を図るための体制整備や、認知症のある高齢者が地域で安心して暮らすための取り組みをこれまで以上に積極的に行う必要がある。ユニバーサル社会構築に向け、障害者に対する県民の理解を深め障害者が安心して生活をおくることができるよう、安定した生活の場の確保等に向けた強力な取り組みが重要である。
●医師確保対策の充実
地域偏在解消については、兵庫県医師養成制度拡充を図り、地域医療に貢献する医学生の掘り起こしと専門医取得までの育成カリキュラムの充実を図ること。また、他県の同様の制度と比較し奨学金給付額が非常に高額となっている兵庫医科大学の「兵庫県地域医療支援医師修学制度」については、奨学金の低額化と対象枠拡大が図れないか検討すること。
年々なり手が減少している特定診療科の医師確保を目指し、特定診療科(産科、小児科、救命救急等)の医師修学制度の新設を検討すること。
●県立病院の経営状況の改善
赤字の要因の一つとなっている重粒子線センター、陽子線センターの新規患者への誘客促進を図ること。
医療DXの推進を図り、遠隔医療や管理業務面でのオンラインシステム導入等で全体経費の縮減に努めること。
●周産期医療体制の整備
人口減少対策の一つとしての周産期医療の推進は最重要課題と考える。まずは不妊治療へのさらなる支援拡大を図ること。
子宮頸がんワクチンを推進すること
医師養成制度の中で、出産時の医療過誤による賠償を懸念することによる産科医の成り手不足を解消できるような体制整備を行うこと。
●がん対策の推進
兵庫県がん対策推進計画を綿密に、また確実に推進すること。
がんゲノム治療や光免疫療法といった先進的ながん治療に積極的に取り組むこと。
●認知症対策の強化
認知症防止対策を強化するとともに、認知症患者とその家族が住み慣れた地域で安心して生活できる共生社会の構築を目指すこと。
●難病対策の推進
難病患者の支援の強化を図ること。
自宅療養をしている難病患者の訪問介護を推進すること。
●新型コロナ再拡大防止対策の推進
新型コロナの新たな波への対策強化等を実施し、再拡大防止に努めること。
高齢者、基礎疾患患者等の重症化リスクの高い層への対策に努めること。
新たな変異種への対応を図ること。
●医師の働き方改革の推進
医師の勤務定常化に向けて取り組むこと。確実な休暇取得ができる体制を構築すること。
時間外手当が確実に支給されるようにすること。
●介護人材確保の推進
介護人材教育を積極的に推進すること。
外国人介護人材の受け入れ体制の整備を積極的に行うこと。令和6年度から実施されている「民の力を活用した特定技能外国人等確保の推進事業」の充実強化を図ること。
●ユニバーサル社会の実現
障害者の生活支援を図ること。
障害者就労支援を強化すること。特に、B型事業所の低賃金に留意し、障害者の所得向上に向けて支援を強化すること。
障害者スポーツの推進に努め、障害者の生きがい作りの視点を持って、取り組みを行うこと。
●子育て支援の充実
ひょうご子ども・子育て未来プラン(2020から2024年)の着実な推進と2050年以降の新プラン策定と新規施策充実を図ること。
共稼ぎ世帯を主軸に置いた子育て利用者支援事業の充実を図ること。
放課後児童クラブ(学童等)の拡充を実施すること。
病気や障害児を持った世帯に対しての保育事業を企画し実行すること。
子育て世帯の経済的負担が軽減されるような保育・教育の新施策を立案し実行すること。
●障害者就労継続支援事業所の授産品の販路拡大・農福連携の推進
兵庫県の令和3年度の就労継続支援B型事業所の平均工賃月額は全国都道府県で45番目。14,354円にとどまっている。工賃を上げるためにも障害者就労継続支援事業所の授産品の販売会など販路拡大に更に取り組むこと。農業の深刻な担い手不足対策としても農福連携は期待されている。県として農福連携を更に支援すること。
●授産品コンクールの推進
昨年度まであった中播磨はばたけ授産品コンクールは、コンクールに応募することで他事業との交流や互いの商品へのアドバイスなどの機会にもなり、就労継続支援事業所の平均的工賃が全国最下位レベルの本県において、このような事業の継続は不可欠と考える。このため、はばたけ授産品コンクールを全県的に充実強化する施策を講じること。
●帯状疱疹ワクチン接種への助成推進
令和6年度から県が市町の帯状疱疹ワクチン接種助成事業への補助を開始したが、これを継続するとともに、高額な負担に鑑み、補助を拡充すること。
●地域区分の見直しによる公定価格の改善
保育・介護・障がい福祉事業者の職員の報酬に関して、国で公定価格が設定され、公定価格に基づき国から各事業者に対する財政支援額が算定されているため、この公定価格はこれらの分野で働く方々の報酬に影響を与える。
公定価格は、事業所の所在する地域などから、平均的な費用の額を考えて地域ごとの区分が設けられており、この地域区分には国の人事院規則の地域手当が反映されている。人事院による地域手当の区分設定を見直す動きに合わせて、このタイミングを捉え、保育・介護・障がい福祉における人材確保の観点から、公務員の地域手当の見直しと合わせた公定価格の地域区分や公定価格の改善を図ることを国へ提案し実現を図ること。
●コメディカルの活躍推進
医師の働き方改革に向けて、今後「労働時間を短縮」していくことが求められるなか、医師から他職種へのタスク・シフティングが必要となる。この点について、医師を補助し、一定の医療行為を実施可能な職種である「フィジシャン・アシスタント」(PA)などの資格を新設することにより医師の業務量負担軽減が実現できる。
日本の医療体制における医師がすべてをこなすという仕組みを抜本的に変えるため新たな医療の在り方を研究し、より効率的な医療体制の在り方を国に対して要望すること。
●医療・介護・福祉の連携施策の推進
県民が安心して暮らせる医療・介護・福祉体制を構築するべく、ICT技術を使い効率的に課題解決に当たるなど、これらの分野の連携をさらに深め、切れ目のない支援体制を作り上げていくことが必要である。また、超高齢社会を支える若者に負担になりすぎないよう制度を設計し、予防対策・自立支援に力を入れること。
●障害者が仕事を選べる環境づくりの促進
障害に理解のある職場を選ぶ際、求職者自身が自分の得意・不得意を説明できるように説明のし易い場(就職フェア)やわかりやすいエントリーシートなど求人者とのマッチングに繋げていかなければならない。また就職へのハードルが高い場合は就労移行支援・就労継続支援A型などの福祉事業所を利用し、今の障害を受け入れつつ社会参加を図っていけるよう新たな取り組みを作っていかなければならない。
障害者が仕事を選ぶことができる環境づくりに取り組むこと。
●就労支援A型に対する伴走型支援の実施
就労支援A型の廃業や縮小などが相次ぎ、A型利用者が解雇されるという事例が発生している。
2024年度報酬改定で、経営状況が悪ければ補助を減額する仕組みになり、収益力の乏しい事業所が運営の継続を断念しているとみられる。
A型事業所は利用者と雇用契約を結び最低賃金額以上の給料を支払わなければならないため、安定した売上を維持する必要があるが、固定費+人件費以上の売上を続けられなければ赤字となる。売上を維持できる仕事があれば、安定した運営につなげることができるが、すべての事業所に安定した取引先があるわけではなくA型事業所が安定的な売上を維持していくのは非常に難しく倒産が続出している。このためA型事業所に対する仕事の支援など伴走型の支援に取り組むこと。
●重度障害者医療費助成に対する国のペナルティ廃止に向けた取組の強化
重度障害者医療費助成を地方公共団体が行う場合、国民健康保険の減額調整措置が適用され、事実上のペナルティとなっている。重度障害者の医療費助成などの経済的支援は、本来、国が取り組むべき施策であり、このようなペナルティ措置を即刻廃止するように、これまで以上に国に強力に働きかけること。
●生涯を通じた歯科健診の取組の推進
去る令和5年6月16日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2023(いわゆる骨太の方針2023)」には、「生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆健診)に向けた取組の推進」等、歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組む旨、記載されている。また、健康増進法に基づく令和6年度から適用の「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」いわゆる「健康日本21」第3次の実施計画では、「歯周病を有する者の減少」、「よく噛んで食べることができる者の増加」とともに「歯科健診の受診者の増加」が「歯・口腔の健康」の目標として掲げられ、指標:過去1年間に歯科健診を受診した者の割合、目標値:95%(令和14年度)が明記された。県におかれては、「歯及び口腔の健康づくり推進条例」を最大限に活用し、前記内容の推進、実現に尽力すること。
●引きこもり、自殺防止対策の強化
長期化、高齢化が進み経済的に困窮する「8050問題」がより一層深刻化している。また、本年3月末に内閣府が公表した最新の調査によると、引きこもりの状態にある40~64歳のうち半数以上の52%が女性であり、特に主婦のひきこもりが増加傾向にある。こうした実態に即した多様な支援の体制を構築すること。
またコロナ禍により、子どもや女性の自殺が増加している。原因の実態解明とともに、こうした傾向に配慮したきめ細かい相談、支援体制の整備をすすめること。
●ヤングケアラー等家庭内介護者への支援
家庭内介護のなかでも「老老介護」「認認介護」「ヤングケアラー」、育児と親の介護を同時に担う「ダブルケアラー」といったサポートが必要な家庭の早期発見が課題である。かかりつけ病院や自治体、学校など関係機関が連携し、支援が必要な人の把握を強化すること。また、相談先の認知が広がるよう広報に努めること。
4.総務
齋藤県政はこれまで、委員会委員の報酬見直し、歳出削減と効率的な行政運営により生み出された財源を用いて次世代への投資を進めてきた。
しかしながら、外郭団体の整理統合、企業庁の改革、分収造林事業、県有地の売却整理などの改革は道半ばとなっている。
行財政改革の手を緩めることなく、兵庫県の活性化に向けて努力していくことを求めるものである。
●県庁再整備に向けた働き方改革の円滑な推進
県庁舎は、県民サービスの拠点であるとともに、防潮堤などと同じく防災インフラであり、県民の安全安心の最後の拠り所である。無駄を排した防災に特化した県庁舎再整備をすみやかに進め、切迫する南海トラフ地震に備えること。また、県庁再整備に向けた働き方改革として、県は出勤率4割の試行を行なっているが、次の点を十分に配慮すること。
・新庁舎は無駄を排し再整備を前提に、議論を進めること。
・県民サービスを低下させることなく、むしろ向上させること。
・阪神・淡路大震災の教訓を活かし、職員の早期の参集、通信手段の途絶の可能性などを慎重に検討し、働き方改革が防災上のネックとならないこと。
●県庁周辺の街づくりにおける動線整備の促進
県庁周辺の街づくりの検討に際しては、三宮再整備事業を実施している神戸市と連携し、都心エリア全体の歩行者環境やアクセス向上など一体的に捉えた街づくりを行うこと。今後は、人口減少や大規模災害の発生が予想される中、道路整備等の観点からも神戸市と意見交換を活発にし、持続可能性の高い街づくりに努めること。
●基幹的広域防災拠点の誘致
基幹的広域防災拠点は、都道府県単独では対応不可能な広域かつ甚大な災害に対して、国と地方自治体が協力して応急復旧活動を展開するための施設で、主な機能は、現地対策本部、物資の中継・配分、資機材備蓄、災害医療支援、支援部隊の集結・活動のベースキャンプなどである。
基幹的広域防災拠点は現在3ヶ所で、首都圏では東京湾臨海部があり、関西圏では平成24年に堺泉北港堺2区基幹的広域防災拠点が整備されているが、切迫する南海トラフ地震は広域にわたり被害が発生し、特に大阪湾臨海部は大きなダメージを受けるため、堺の拠点のバックアップ、役割分担を果たす意味で、新たな基幹的広域防災拠点が播磨内陸部に必要である。このため、三木市などの播磨内陸部に基幹的広域防災拠点の誘致を国に働きかけること。
●防災・危機管理体制の強化
来年は阪神・淡路大震災から30年を迎える。その経験や教訓を活かし、南海トラフ地震や局地的豪雨といった自然災害に備え、平時より自衛隊との連携強化に努めること。防災マニュアルや地域防災計画は適宜これを見直し、災害発生時の迅速な安全避難や社会的弱者へのきめ細やかな対応等に繋げるべく、地域防災組織の機能強化を図ること。
●災害発生時におけるドローンの活用
災害発生時における各種ドローンの活用は極めて有用である。災害監視体制、県民への情報発信、救援物資の移送等の充実を目指し、ドローン活用の研究を進め、その実用化を期すること。また災害時に必要な県民への情報提供の最適化を図ること。
●Jアラート発動時に取るべき対応の県民への周知徹底
近隣敵対国からの弾道ミサイルの発射等によるJアラート(全国瞬時警報システム)発動時に取るべき対応について、国とも連携した県民への周知徹底を図ること。国民保護計画のもと、緊急避難経路や一時避難のあり方について、スパコン等の最新機器も活用した研究を進め、危機に備えること。
●フェニックス共済の抜本的改革の実施
兵庫住宅再建共済基金のフェニックス共済は、南海トラフ地震など大規模自然災害の発災で最悪1,000億円余りの支払いが必要だが、積立金は134億円しかなく、県財政による代位支払いを求められることが懸念される。また、国の被災者生活再建支援金も充実しており、共済制度の内容自体も問題が多い。
このため、廃止を視野に早期の検討を行うこと。
●なりすましによる投資詐欺対策の推進
SNSによる著名人を利用した「なりすまし投資詐欺」の被害が激増、悪質化している。兵庫県の状況としては、本年4月の県警発表では「SNS型投資詐欺」だけで昨年1年間で約260件、約28億円の被害があった。なりすまし投資詐欺については我が会派主導で国への意見書を出しているが、国の動きと合わせて対策を強化すること。
●自動録音機能付電話機等の購入補助拡充事業のPR改善
高齢者の振り込め詐欺被害の防止のために、県は県の自動録音機能付電話機等の購入補助の拡充し、市町の事業実施に対し県は満額補助を実施している。
ところが、各市町では県の満額財源負担をPRできていないことから、本事業や同様の事業実施の際のPRの改善を求めること。
●自転車用ヘルメット着用の促進
令和5年4月1日施行の「改正道路交通法」により、自転車を利用する全ての方に、自転車乗車用ヘルメットの着用が努力義務となったが、 同年7月の警察庁調査によると、本県の着用率(6.2%)は全国平均(13.5%)を下回っている。
このため、自転車用ヘルメットの着用促進に向けて、「自転車ヘルメット購入応援事業」を継続すること。
●外郭団体の整理による財源の確保
H21年度に外郭団体は43団体から32団体になった。外郭団体の事業を整理したことで事業費も削減することができた。今後は事業費削減のみならず、運営評価委員会の結果を元に適切に検証評価するなど、より踏み込んだ改革を推進すること。密接公社の人事についても管理職クラスが密接公社に天下りするケースが今もなお多いとされている。今後は公募など競争性を活かし、人材の確保に努めること。
●兵庫県立大学の更なる発展・充実
授業料無償化により全国的にも大きな注目を集める兵庫県立大学は、これを機に国内外の若者から「選ばれる大学」を目指すべく、優秀な人材の確保に努めること。そのために、以下の取り組みに注力すること。
・グローバルな時代の最先端を切り拓く研究や教育を行う学部の新設を含め兵庫県立大学の充実に取り組むこと。
・先端医療工学研究所「はりま新産業エコシステム」や若手・女性起業家のための産学融合型のスタートアップ支援拠点の機能強化を一層進め、兵庫の産官学連携における兵庫県立大学の存在価値を更に高めること。
・多様な教育・研究資源を活かし、重要テーマを取り上げた公開講座の開催等、リカレント教育の更なる充実を図ること。
●大阪府と連携した高等教育無償化の拡大
2024年から兵庫県立大学及び大学院の所得制限なしでの無償化が始まり、大阪においても大阪公立大学への教育無償化がスタートした。現在はそれぞれの府県に在住の生徒のみ対象となっている。県や府といった垣根は学生がどこで学びたいかという思いとは関係がないので、将来的に兵庫県民も大阪公立大学へ、大阪府民も兵庫県立大学へ無償で進学できるようにするべきである。財源や公平性など様々な課題があり、これを克服し兵庫県と大阪府が連携して無償化の枠組みを拡大する制度を実現するために前向きな検討および政策研究を行うこと。
●高等教育無償化の更なる拡充
兵庫県立大学の授業料等無償化をスタート地点として、兵庫の若者が経済的な事情によることなく安心して希望する教育を受けることができるよう、高等教育無償化の私立大学等への拡充に向けて、国とも連携しながら取り組んでいくこと。
●県立大学・新長田ブランチ(仮称)における口腔保健学科の新設
県立大学・新長田ブランチ(仮称)にて、役割を終えた県立総合衛生学院・歯科衛生学科を発展的に解消し、同ブランチをサテライトキャンパスとする4年制口腔保健学科を新設すること。(現在の看護学部を仮称・看護保健学部等に改称、拡充して同部内に新設)いわゆる「国民皆歯科健診」が国の施策の俎上に上がろうとする現在、将来の大学院設置も視野に、県に口腔保健施策のシンクタンク的機能をも期待し、4年制口腔保健学科を新設すること。
●消防団活躍社会の実現
近年の県内の消防団員数は 年々減少を続けている。減少の理由は、単に人口減少のみならず、消防団への県民の理解が以前に比べて不十分になっているからではないかと考える。
地域の力で消防団を支える、そしてご家族も消防団の活躍を理解していただく、そのうえで消防団員がやりがいをもって生き生きと活躍できる。そんな「消防団活躍社会」を県として創り上げていくべきである。
このため、現在の県のPR方法を抜本的に改善し、消防団員の大学生や女性も含め団員の中から公募してSNSやYouTubeで発信をするなどを通じて、広く一般県民に対して消防団の意義と活躍を楽しくPRし、親しみを持ってもらう施策を講じること。
また、「ひょうご消防のつどい」における消防団の家族の知事感謝状の充実を図ること。
●ひょうご防災リーダーの活躍促進
ひょうご防災リーダーの育成事業は、平成16年から始まり、令和4年度末までに3510人が研修を修了されている。ひょうご防災リーダーが活躍できる環境を整備することは、県の責務である。
「ひょうご防災リーダー」の活躍の場を広げていくために、消防団や自主防災組織といった既に存在する地域の防災組織の中に、防災リーダーに積極的に参画してもらうようにすれば、消防団や自主防災組織の活動が、防災リーダーの参画でより活性化し活動に厚みがでる。また、活動の際は消防団基金の公務災害補償や自主防災組織のボランティア保険の対象にもなる。
このため、防災リーダーの活躍の場を市や町に推奨する次のような施策を講じること。
第一に、防災リーダーに消防団の機能別消防団員になってもらい広報や防災訓練の助言などで活躍していただくこと。
第二に、防災リーダーに地域の自主防災組織のスタッフなどになっていただくこと。
●ワールドマスターズゲームズ2027関西への機運醸成
国内3万人、海外から2万人の参加目標人数を掲げる大型スポーツイベントWMGへの来場者を観光振興へ繋げる施策と体制整備、機運醸成に努めること。その際、本年5月に開催されたKOBE2024世界パラ陸上競技選手権大会での観光振興の検証を踏まえること。
●eスポーツ市場規模の拡大と活用検討
eスポーツは年齢や性別、国籍、障害の壁を超えて誰もが参加できるコンテンツとして注目されており、2025年には210億円を超える市場規模になるとの推計もあり、年々拡大している。神戸市でも積極的に大会誘致などに向けた動きが活発化しているが、経済活性化につながる新たなコンテンツとして県でも活用について検討すること。
5.文教
兵庫県の教育は、多様な地域特性に対応し、国際競争力を持つ人材育成を急務としている。少子化の進行に伴い、教育資源の効率的配分と最適化が求められる中、以下の施策を推進することが必要である。まず、高い学力と実践的スキルを持つ人材育成のために、最先端ICT技術を活用した教育革新が不可欠であり、電子黒板やタブレット端末、オンライン教材を導入し、個別最適化された探究的な学習環境の提供が必要である。次に、教育の選択肢を広げ、保護者や生徒が教育機関を自由に選択できる環境を整備することが重要である。これにより、学校間の競争を促進し、教育の質の向上、地域差や経済的背景による教育機会の格差解消が図られる。さらに、地域企業や団体との連携を強化し、実践的なキャリア教育を推進することが不可欠である。職場体験やインターンシップを通じて、実社会で求められるスキルを習得させ、地域経済の活性化に寄与できる。また、いじめ対策や不登校児童・生徒への支援、教員の働き方改革を進めることも重要である。いじめの防止や早期発見、適切な対処方法の整備に加え、不登校児童・生徒への支援体制の強化が求められる。そして教員の働き方改革により、教育の質を維持しつつ、労働環境を改善し、持続可能な教育環境の確保が求められる。これらの施策を通じて、兵庫県はグローバルな競争力を持つ人材育成と教育の質の向上、自立した個人の育成と地域社会との連携を進めていくことが必要である。
●兵庫県下公立小・中学校の教員不足対策の推進
本年5月1日時点で本県では小学校102人、中学校51人、高等学校30人、特別支援学校22人の合計205人の教員不足が発生している。昨年10月から県内3か所で、教員免許を持っていて経験がない方(ペーパーティチャー)や教育現場から長く離れている元教員を対象に、講座を開き149人が参加しているが、今後、会場の増加や内容を工夫し幅広い人材の確保発掘等、教員(講師)の確保に努めること。
教員不足解消に向けた取り組みとして本県では講師登録人材バンクを設置し令和5年6月9日時点で1,581人登録されている。希望する者には学校とのマッチングにより臨時講師や非常勤講師として派遣されるが、これら講師の中には不安定な身分で不安を抱えている者が多い。教員採用試験では臨時講師等に第1次選考試験で加点しているが教諭として採用できるよう更なる拡充を図ること。
●多様な人材の確保
2024年度の教員募集者数に対し、兵庫県公立小学校の倍率が3.9倍、公立中学校の倍率は3.6倍で小学校は中学校より比較的高い倍率を保っているものの2023年度は全国の公立小学校では採用試験の倍率が2.3倍で4年連続、過去最低を更新している。倍率の低下は教員の質も下がることが懸念される。質の高い多様な人材確保のために「特別免許状」や社会人が受験できる「特別選考」更には「教員試験実施回数」の増加に取り組むこと。
●教員の業務改善の促進
教員の負担を軽減するためにも多様な人材の確保や生成AIを含むICTを活用し、業務の効率化を図り、働き方改革を積極的に進めること。
●心の病による休職者対策の推進
令和5年度の本県での90日を超える精神疾患での休暇等取得者は、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、事務等合わせて281人となっている。毎年増加しているが休職した教員の年代ごとの割合は特に、20代から30代が高い傾向にある。現在、中堅教員が減少してきており、若手が気軽に相談できる相手が少なく学校内でのサポートも薄いことが考えられる。スクールカウンセラー(臨床心理士等)を増員し相談できる体制を整えることで環境改善が図られるよう努めること。
●キャリア教育の充実
学校での授業と企業等でのインターンシップを並行して進め、切れ目なく職業人を育てる「デ ュアルシステム」によるキャリア教育を導入すること
●塾代助成に向けた制度設計の検討
塾や習い事など、学校外教育負担の軽減策を検討すること。特に中学3年生を先行すること。受験生の学習塾代は、子育て世代の経済的負担が大きい。また、事業者への補助ではなく受益者への補助とすること。
●主権者教育の充実
特に若年層で政治への関心が低いことに鑑み、主体的に考えて議論し、意思決定を促す取組を含めた主権者教育(シティズンシップ教育)を充実・強化すること。
●不登校児童生徒が別室指導を受けられる環境整備の促進
近年全国的に増加している不登校児童生徒が登校する際に、学校における居場所として常時別室指導を受けられるよう環境整備や人員の確保に関する支援を行うこと。また、配置した不登校支援員に対して、スクールカウンセラーなどと共同し、研修を通じて資質の向上を図ること。
●不登校特例校の実施
政府は、不登校の子どもを対象に柔軟なカリキュラムを組める不登校特例校について全都道府県への設置を目指している。特例校はフリースクールと異なり元の学校から転校でき通常と同じ卒業資格を得られるメリットがある。2017年施行の教育機会確保法で国や自治体による設置が努力義務とされているが、現在、全国で21校程にとどまる。兵庫県下でいくつかの自治体が特例校の実施に向け検討しているとのことであるが、教員の確保や財政的な制約などの課題がある。本県としても積極的に市町に支援を行うこと。
●インクルーシブ教育の実現
本県では2012年に開校した兵庫県立阪神昆陽高校と高等部のみの阪神昆陽特別支援学校はインクルーシブ教育を目的に、同じ敷地内に設置されている。校長は同じで教員も両校で指導できる。また、両校の授業の組み入れや卒業単位に参入できるなどの先進事例がある。今後も、インクルーシブ教育を掲げ障害ある子もない子も共に学ぶ環境整備が実現するよう取り組むこと。
●特別支援学校寄宿舎のWi-Fi環境の充実
生徒のみならず当直教職員のタブレットやPCによる学習を進めるため、支援学校寄宿舎のWi-Fi環境を充実すること。
●初等教育における国語及びコミュニケーション能力の向上
小中学校でのプレゼンテーション、ディスカッション、 ディベート、ファシリテーション、傾聴などの包括的コミュニケーション教育を通して「聞く、話す、 伝える」能力を鍛え、円滑な人間関係の構築および国際社会でも役立つスキルの早期取得を促進すること。
●児童生徒の体力・運動能力の向上
初等教育を中心に学校教育全般を通じ、児童生徒の基礎体力・運動能力の向上を図ること。そのためにも食育と健康教育の充実を図ること。
●読書活動の充実
子どもの本への関心を高め読書習慣の定着を図ることはその後の人生を豊かなものにする。読書好きの子どもを増やすことは、文教施策全般の充実にとっても有用なことであるので「ひょうご子どもの読書活動」を更に充実させること。
●高等学校教育における人権教育の充実
人権侵害問題であると同時に国家主権の侵害問題でもある「拉致問題」を授業で取りあげ、県作成の「拉致問題」啓発ビデオを県下全高校生が視聴するよう推奨し人権教育の充実を図ること。
●家庭と地域による学校と連携した教育の推進
学校・家庭・地域が連携、協働する仕組みを一体的に推進するとも共に、「学校内学習塾」や「世の中科等の放課後講座」など、先進的事例の導入を検討すること。
●愛郷心の育成
学区制の柔軟性を保ちながら、地域に根差した魅力的なカリキュラムや活動を提供し、故郷への愛着を深める教育を行うこと。
●兵庫県立高校一般入試制度の改善
第2志望校への回し合格の規模により、本来の第1志望校が不合格となってしまうケースがあるため複数志願制度の見直しを図ること。
主要5科目の4倍換算と副教科4科目の7.5倍換算の乖離が大きいため、内申点評価の比重を再考すること。
当日の試験で挽回、逆転できる可能性を高め、挑戦、逆転、あきらめさせない入試制度にするため、内申点(250点満点)と当日試験(250点満点)の比重(1対1)を再考すること。
●生成AIに対しての著作権教育の充実
生成AIについては、情報の真偽、信憑性の判断ができる学年に対しての限定的使用であること。また、著作権侵害等を起こす可能性の高い作文活動には細心の注意喚起と添削指導を行うこと。
●義務教育の少人数学級の完全実施に向けた検討の促進
文部科学省が実施した 「今後の学級編制及び教職員定数に関する国民からの意見募集」では、約6 割が「小中高校の望ましい学級規模」として26人~30人を挙げている。教員からは子どもに丁寧な対応を行うために、一クラスの学級規模の引き下げが望まれている。また、財政制度等審議会の資料では少人数学級が学力に与える影響は軽微であるとの意見もあることから、本県でも独自に調査等を行い様々な角度からの研究を行い、理想の学習環境を模索していくこと。
●いじめの対応強化
本県のいじめ対応については、自治体によって様々であり、各首長の関心や政策方針により施策の重点箇所は異なると認識しているが、いじめの対応については県教育委員会が市教育委員会に対して助言を行い、責任をもって未然防止・早期発見・早期対応を図ること。また協議会や相談窓口を作り、スクールポリス等の第三者機関が学校現場に介入できるよう環境整備を行うこと。
●スクールカウンセラーの常勤化の推進
いじめ、不登校などの問題は増加している。現代の多様化した心の時代に合わせてきめ細やかな対応が求められる。スクールカウンセラーは学校内における心の相談の中核的な役割を担っているが、現状は週に1日程度の勤務となっている。相談数も多く、相談したくてもできない状況も少なくない。スクールカウンセラーの外部性や専門性を担保しながらも、将来的な常勤化に向けた整備を行うこと。
●こころの教育の推進
個人主義が進む中で、人間関係、コミュニケーションのスキルに関して育む機会が減少しており、これまで以上にメンタルトレーニングやアンガーマネジメント、ソーシャルスキル、レジリエンスなど、「こころの教育」を積極的に学ぶ必要性がますます高まっている。こうした手法を取り入れて、心の健康度の向上に向けたこころの教育を推進すること。
●性犯罪に対する防犯教育の実施
県内では10代による盗撮が増えている。スマートフォンやSNSの浸透で動画・写真撮影が習慣化していることが背景とみられ、この7年間で3倍近くに増加している。また、子供を対象にした性犯罪も増加しており、性犯罪の被害者、加害者にならないためにも、性犯罪に対する防犯教育を行うこと。
●部活動指導員の活用
部活動は休日にも行われており、教員の献身的な長時間勤務によって支えられている。指導経験がない教員の負担は相当なものである。学校内の働き方改革を考慮し、地域の人材を部活動指導員として活用し、部活動改革を行うこと。
●スポーツクラブ21の活性化
県内全小学校区にスポーツクラブ21があるが、活動は総じて停滞していることから活性化を図ること。
6.産業労働
来年に見据えた、大阪・関西万博をどのように観光の活性化につなげていくのか兵庫県内のフィールドパビリオン事業に加え、様々な県内観光スポットが国内外の旅行者の目に触れるようプレミア・プログラムなどの更なる磨き上げや尖った観光戦略も重要である。
県内の経済状況は緩やかに回復といわれているものの、倒産件数は前年を上回り、最低賃金の上昇に追いつけない企業もあるなど、業況判断では足もとが悪化し慎重な見方となっている。
また雇用に関しても緩やかに改善しているといわれているが、宿泊業や建設業、飲食業や介護業などは引き続き厳しい状況が続いている。
これらの企業や消費動向を踏まえて、継続した支援が求められる。
●景気対策の実施
これまでに実施のはばタンペイプラスのビッグデータを活用し、県民の景気動向を向上させられるような新たな対策を行い持続可能な景気対策の構築を図ること。
●事業承継におけるマッチングイベントの実施
伝統や文化を守るため、将来的に継承していきたいという思いのある企業とのマッチング相談会を実施すること。
また、新たなビジネス創出に意欲的な人材と地域課題の解決に取り組む事業とのマッチング機会を構築し、新たな視点やDXを活用して産業の発展につなげること。
●ストレス社会に対する働き方の実現
多様な働き方やワークライフバランスは、現代社会において重要なテーマであり、柔軟な労働時間やリモートワークなど、様々な働き方が認められるようになってきている。
しかし、個人のライフスタイルが尊重され、家庭との両立もしやすくなった一方で、過度な労働やストレスも課題となっている。効果的な時間管理や労働環境の改善が求められていることから、企業と従業員が協力し合い、働きやすい環境を構築し、健康で持続可能な働き方を実現できるよう支援に取り組むこと。
●旅行商品の開発促進
国内だけでなく海外からの利用でも、兵庫県を楽しめる企画を図り、国際社会へ兵庫の魅力を発信すること。特にユニバーサルツーリズムなど「誰でもどこにでも行ける」環境を構築していくことにより、障害の有無にかかわらず兵庫の魅力を体験・実感し何度でも訪れたくなる場所となるよう、兵庫の魅力づくりを加速させていくこと。
●海外人材の活用促進
現在兵庫県内で働く外国人労働者数は令和5年10月末時点で57,375人と過去最高を記録している。県内企業の人材不足を補うだけでなく海外人材の活躍により、グローバルな視野を持つ組織づくりが進み、国際市場での競争力を高めることが可能である。海外人材の活用を促進するためには、適切な採用プロセスや労働環境の整備、文化や言語の理解を深める取り組みが重要である。多様なバックグラウンドを持つ人材とのコミュニケーションや協力が円滑に行われるよう、組織全体での多文化理解を促進していくこと。
●国際交流の推進
各都市との姉妹都市や友好都市連携強化を図っていくことで国際的なネットワークを広げ、多様な文化交流を行い、地域の発展に寄与すること。
また県内の学校や大学と連携し、国際交流プログラムを実施することで留学生の受け入れや、国際感覚を養う機会をさらに提供すること。外国語教育の充実を図ることで兵庫県内の地域の文化を発信し、相互理解を深めることで海外から選ばれる兵庫県を目指すこと。
●観光人材の育成
芸術文化観光専門職大学と連携し兵庫県内の観光人材を増やしていくこと。
そして兵庫県内の観光企画をバージョンアップしより魅力的なものに磨きあげていくこと。
●食のイベントの実施
食を通じて人々が集まり交流する場は、兵庫県の豊かな自然と文化を、観光客にアピールできるため、全国で行われるフードイベントに神戸ビーフや淡路の玉ねぎ、日本酒やスイーツなど兵庫五国の特産品をPRするために、出店を行っていくこと。
●人生100年時代を見据えたキャリア形成の支援
製造や観光の現場で人手不足が深刻化しており、労働力を最大限確保するために、高齢者や女性、障がい者など、多様な人材を積極的に活用する取り組みが必要である。また、教育制度や資格制度の改革を通じて、将来の労働力を確保するための人材育成が重要である。
このため、さまざまな立場やバックグラウンドを持つ人材が活躍できる環境を整備し、効果的な人材の確保と活用を進めること。
●新たな移動手段への着手
空飛ぶクルマの社会実験を経て実用化へ結びつけていくため、技術的課題、法的課題、インフラの整備、社会的受容など課題解決を行い、新たな移動手段の獲得を実現していくこと。
●神戸空港国際化へ向けた関西3空港一体による取り組みの推進
規制緩和によって神戸空港の新たな展望が期待されることになった。関西3空港を一体と考え、関西空港の回復と成長に向けた将来航空需要の精査を進めながら、伊丹空港については地域社会との共生を考える都市型空港としての役割、また神戸空港は国際化を力強く推進し、関西3空港の機能維持・強化し関西の中の兵庫の活性化に努めること。
●新たな産業創出の支援
情報技術やデジタル産業、再生可能エネルギー、バイオテクノロジー、宇宙産業など急速に発展している分野は、新たな産業分野として注目されている。こうした新たな産業分野においても支援を行い、地域経済の多角化や持続可能な発展を目指していくこと。
●関西・大阪万博を見据えた兵庫の戦略の強化
フィールドパビリオンなど万博に向けた更なる磨き上げを行い、宿泊を伴った観光を兵庫へ誘致するよう更に加速させること。また世界に兵庫県のPRができる絶好の機会である万博会場において、兵庫の魅力発信を行うこと。
●中小企業の経営支援の強化
最低賃金の向上やエネルギー価格の高騰、円安による輸入商品の値上がりなど中小企業の業況は依然として厳しい。兵庫県内企業の活気を底上げしていくためにも金融機関や保証協会などと連携し支援を行い、また、起業支援も更なる強化を図っていくこと。
7.建設
近年増加している自然災害に備えるため、河川整備や土砂災害対策を推進していく必要がある。特に線状降水帯や豪雨が頻発しており、県が進めている地下貯留管や河川の浚渫工事を着実に実行していくことや、計画中のものに関しても着実に実施していくことが重要である。
また、ハード面では道路ネットワークの整備は県民生活の改善につながることから引き続き整備を進めるとともに、ソフト面では自家用有償旅客運送、ライドシェア等の活用により過疎地域における交通手段の確保を図っていく必要がある。
●地域の公共交通の確保
高齢化が急速に進む中、地域公共交通で住民の足を確保して買い物・医療難民等をなくすことは、政治が住民に対して保障する生活の最低水準、すなわちナショナルミニマムであり、福祉政策でもある。
県内では、高齢者など交通弱者が公共交通から取り残されている公共交通空白地域がまだまだ数多く存在する。
バス、タクシーのみでは十分な移動サービスが提供されない過疎地域などで、住民の日常生活における移動手段を確保するため、国土交通大臣の登録を受けた市町、NPOや自治会などが運行する白ナンバーのワゴンタイプの車等の運送形式、すなわち「自家用有償旅客運送」では、運賃は、バス運賃程度か、タクシー運賃の1/2程度で設定されている。
高齢者などの交通弱者が、県内どこにお住まいでも買い物難民や医療難民とならないよう、最寄りの鉄道駅にアクセスできる公共交通の足を確保することは、県政の重要課題である。
「自家用有償旅客運送」の制度も活用し、県内の公共交通空白地域をなくすようにしていくこと。
●ライドシェアの推進
近年、過疎化や高齢化・人手不足の影響で特に過疎地域での交通手段の不足が社会課題となっている。ICT技術の進歩により携帯電話を利用した配車・決済手段も多様化しており、交通手段確保の方法としてライドシェアに対する期待が高まっている。
国土交通省は、本年4月、地域の自家用車や一般ドライバーがタクシー事業者の管理の下で安心・安全な運送サービスを有償で提供することを可能とする制度(日本版ライドシェア)をスタートさせた。
現在では、全国15地域で運行が開始し、県内の神戸市や尼崎市、西宮市が「神戸市域」としてその対象地域となっており、取り組みが進んでいる。こちらの推進とともに、ライドシェアに限らず、地域によっては乗合タクシーの活用を促す方策など、県内の交通空白地を抱えるすべての地域でも対策を進めていくこと。
●ローカル鉄道の存続と駅舎のバリアフリー化の推進
ローカル鉄道は地域の最重要の社会資本であり、その存続は高齢化が急速に進む中、高齢者など交通弱者が買い物難民、医療難民になることを防止する福祉政策であり、一度無くなれば復活は不可能である。
県内のJR赤字路線に関して、路線の維持・存続に向けて、周辺自治体とともに国への関与を強め、利用促進と利便性向上を図りながら沿線を活性化すること。
また、高齢者や障がい者などに優しい駅舎のバリアフリー化に取り組むこと。
●JR西日本の鉄道駅のバリアフリー化の推進
例えば、JR姫新線太市駅については、2年前の駅の改修で民間事業者が駅舎を整備するなど全国的に有名になったが、駅舎の改修に合わせて、プラットフォームのベンチと屋根が撤去されており、雨の日には高齢者などが長時間雨に濡れながら待つ悲惨な状況である。JR西日本は、この太市駅だけでなく、およそすべての無人駅のベンチなどを撤去する方針と聞いており、バリアフリー法では鉄道事業者の努力義務があることから、問題である。
このため、バリアフリー化の取組の中でプラットフォームのベンチと屋根などの最低限の駅施設の設置を、県からJR西日本に対し要望し実現を求めること。
●土砂災害の防止と安全安心の確保
近年、集中豪雨による土砂災害が県内でも頻発している。
山間部の土砂災害の危険がある地域では、災害弱者の高齢者が数多く居住しており、不安の中で日々暮らされている。
このため、土砂災害警戒区域や特別区域の見直しを不断に行い実態に合った地域指定を行うこと。
また、必要な急傾斜地崩壊対策事業を速やかに行い、地域の安全安心の確保を図ること。
●河川のゴミの除去
河川へゴミを捨てる行為は河川管理上の機能を損なう恐れがあり防災上も問題があるため、「河川法」「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」など関係法令で罰則規定が設けられている。
現在、県では下流の地元自治会などに依頼し、河川にオイルフェンスなどを設置し、ゴミを収集撤去している事例がみられるが、一部の自治会に過大な負担を強いるものである。このため、必要な予算を確保し、ゴミの収集を上流、下流の流域全体として県においてゴミ対策に取り組むこと。
地元市町とともにゴミの河川への投棄を防止する啓発に取り組むこと。
●道路ネットワークの整備促進
地域発展の拠点となる地方都市間を効率的に連絡するために、播磨臨海地域道路を始め、名神湾岸連絡線、大阪湾岸道路西伸部、神戸西バイパス、東播丹波連絡道路、東播磨道北工区、北近畿豊岡自動車道、山陰近畿自動車道などの整備計画を加速させ、地域相互の交流の円滑化に努めること。
●主要渋滞箇所の見直し
令和6年3月に見直された交差点等の主要渋滞箇所の整備解消を急ぐこと。
周辺状況の変化により渋滞が悪化している箇所があることから、改めて渋滞状況の確認や対策を推進すること。
交差点改良などのハード対策と交通需要管理のようなソフト対策に取り組むこと。また、ETCの走行経路や急ブレーキや急ハンドルなどの走行履歴等のデータを活用し、渋滞発生箇所の特徴の把握や、交差点改良等の対策実施済箇所の効果検証などを行い、さらなる渋滞対策の検討を進めること。
●都市計画に位置付けられた重要な道路の整備促進
例えば姫路上郡線など終戦直後に都市計画がなされた道路の拡幅やバイパスの整備が遅れている個所が、県内に数多く存在する。このため、今一度都市計画を検証し、整備の遅れた事業を推進すること。
●防災・減災対策の推進
インフラの長寿命化によるライフサイクルコストの低減を図るため、予防保全による老朽化対策への転換を推進すること、また災害発生直後の被災状況を的確に把握するためドローンによる空撮やレーザースキャナによる図化等、デジタル技術の活用を推進すること。
●高齢化が進む地域における住宅耐震化の促進
本年1月1日に発生した能登半島地震では、人口減少・高齢化が進む地域を襲った地震で、犠牲者の死因の86%は家屋の倒壊による圧死である。これら被災地の耐震化率は例えば珠洲市51%、輪島市45%であり、全国平均87%を大きく下回っている。また、65歳以上の高齢化率は珠洲市52%、輪島市46%であり、全国平均高齢化率29%を大きく上回っている。本県でも高齢化率が高い地域は、耐震化率が低い傾向にある。つまり、高齢者が多く居住し過疎化する地域では、住宅の耐震化が進んでいない。
一方で、30年以内に発生する確率が70~80%とされ、8月8日に地震臨時情報が発出された南海トラフの大規模地震の危機が切迫している。
このため、本県においても高齢化地域で住宅の耐震化を促進するビジョンを明確にするとともに、国に対して法制度や財政措置の創設を求めること。
●県営住宅と市町営住宅の一元化の推進
「ひょうご県営住宅整備・管理計画」に基づく県営住宅の整備を進め、県営住宅と市町営住宅が隣接する区域では関係自治体と連携し、県営住宅の効率化を図り、地域の活性化や人口が増える政策を推し進めること。
●公営住宅の再編または指定管理制度のあり方の見直し
県内には市営住宅と県営住宅が隣接する地域が多数あり、効率の悪い運営を再編するなど、市町や民間の十分な理解を得て、移譲の推進を検討すること。
また、県関連施設の指定管理制度についても、民間事業者を積極的に活用し地域の賑わいの創出や税収入を生み出すビジネスモデルを新しく構築していくこと。
●コウノトリ但馬空港の利活用の推進
コウノトリ但馬空港は、但馬地域の高速交通の空白状態を解消し、交通の利便性を高めるコミューター空港として平成6年に開港した。
「あるものを最大限に活用」する観点から、ダイヤを不断に見直し旅客需要を掘り起こすことにより活用促進をさらに進めること。また、スカイダイビングや遊覧飛行、気象観測などの拠点として空港の多面的利用を促進すること。
さらに、過疎地を襲い交通を途絶させた能登半島地震の教訓を踏まえ、交通や救急医療に優れた空港を目指し、施設の充実を進めること。
●丹波篠山市における太陽光パネルの取組紹介の実施
丹波篠山市は、まちづくり条例において、太陽光パネルを200㎡以上は許可制にし、公道から見えない場所にすることなどを義務付けており、市内を走行しても太陽光パネルが目に付くことはない。
丹波篠山市の取組について、県内の市町に県として示し、山を削り、ふるさとの景観を毀損する太陽光パネル規制の好事例として積極的に紹介すること。
●大規模地震災害を見据えた上水道施設の強靭化の推進
令和6年1月1日に発生した能登半島地震では、最重要のインフラであるべき上水道施設の大規模地震に対する脆弱性が明らかになり、被災地の住民生活を一層困難にするとともに、復旧・復興の大きな支障となった。
現行の地方財政法では、上水道事業は公営企業と位置付けられ、水道料金で施設の整備費に充てる独立採算が原則となっている。しかしながら、能登半島地震の被災状況を教訓にすれば、国民の安全・安心を守ることは国の責務であり、憲法に規定する生存権の保障と考えられることから、上水道施設の強靭化について国の抜本的関与と公費負担が必要であり、わが会派主導により本年6月議会で以下の意見書を出しており、県としても国に要請し実現を図ること。
1 上水道施設の耐震化等のため新たに手厚い助成制度を創設すること。
2 上水道事業の耐震化等に対して新たな繰出基準を創設し、各地方自治体に対し水道施設の耐震化等に必要な地方財政措置を講じること。
3 個人負担とされている上水道の給水装置の修繕費について、大規模災害時には一括して地方自治体等が工事を発注することが復興・復旧を円滑化することから、公費負担の在り方も含めた制度設計を進めること。また、被災地の水道工事業者等の不足に対処するため、水道工事業者等の広域応援体制を構築すること。
4 大規模災害を見据えた上水道施設の耐震化等や発災時の早期復旧を推進するとともに、地方自治体の必要な財源を確保するために、上水道施設の強靭化のための法整備を行うこと。
●水道事業の広域化の推進
県内水道の地域間格差を是正し、将来にわたって安定的に水を供給し続けるため、上記の前項の強靭化を図るとともに、水道人材の県内共同募集や部材の共同購入、システムの共同化、ICTの利活用を通じて県がリーダーシップをもって県内水道の広域化を進めること。
●将来を見据えた港湾機能の強化
阪神港(神戸港)の生産性をさらに向上させるため、AIやIOT、遠隔操作RTGの導入、サイバーポートを積極的に活用し、官民連携により競争力を強化すること。また姫路港については、工業港として2050年カーボンニュートラルを見据え水素等のサプライチェーンの形成を検討するとともに、持続可能な観光港として新航路誘致を進めること。
●播磨科学公園都市のあり方の見直し
播磨科学公園都市については、あらゆる面において、人が住み生活できる都市として持続可能ではなくなっている。特に住宅分譲は、産業、業務用地と異なり、まちづくりであり、くらしづくりでもある。有識者会議を立ち上げ、大胆に都市のあり方を見直し、現在住んでいる住民にとって、暮らしやすく持続可能なまちにしていくこと。
●淡路夢舞台のあり方の見直し
淡路夢舞台については、県にはホテルを長期で運営していくノウハウが不足しているため、民間への売却も含め検討すること。